vix指数は同じところを行ったり来たりする。だからvix指数先物
ETFは下がり続ける。
去年の中ごろ、vix指数先物ETFを本格的に空売りするなら、vix指数先物ETFの仕組みを理解しておかなければならないと思い立った。
僕にとって大きな疑問だったのが、vix指数は同じところを行ったり来たりするのに、なぜvix指数先物ETFは下がり続けるのかということだった。最初、漠然とvix指数はオプションを使って算出するもので、オプションは保険のようなものだから、平時には保険料が差し引かれて値下がりすると思っていた。しかし、vix指数先物ETFの資料をいくら読んでも、
オプションを組み入れているとは書いていなかった。「VIX指数先物の第1限月の先物を売却し、第2限月の先物を買付ける取引を日次で行う」と書いてあるだけだった(実際にvix指数先物ETFの運用担当者がvix指数先物の売買を毎日しているわけではないのだが、それについては説明を省略する)。第1限月の先物を売却し、第2限月の先物を買付ける取引を行うのは、先物は決済日が来ると、強制的に換金されるから、運用を継続するためには、決済日が遠い先物に乗り換えないといけないからだ。
また、毎日、少しずつ決済日が遠い先物に乗り換えるのは、決済日が近い先物と決済日が遠い先物の価格の差で
極端に損をするのを避けるためだ(2010年10月10日の記事参照)。僕の思考は、ここで行き詰ってしまった。
そんな中、セブンイレブンの前を歩いていると(これも去年)、ふと、「vix指数は同じところを行ったり来たりする。だからvix指数先物ETFは下がり続ける」ということをひらめいた。
@一般的に商品や平均株価の先物は、将来値上がりすると思う人が多ければ、決済日が近い先物よりも決済日が遠い先物の方が高くなる。逆に将来値下がりすると思う人が多ければ、決済日が近い先物よりも決済日が遠い先物の方が安くなる。
A決済日が近い先物よりも決済日が遠い先物のほうが高い状態で、ETFの運用担当者が決済日が近い先物を売って決済日が遠い先物を買うと、安い物を売って高い物を買うことになるので、ETFの資産が減ることになり、ETFは下落する。
(逆に決済日が近い先物よりも決済日が遠い先物のほうが安い状態で、ETFの運用担当者が決済日が近い先物を売って、決済日が遠い先物を買うと、高い物を売って安い物を買うことになるので、ETFの資産が増えることになり、ETFは上昇する。)
平均株価や商品の先物だと、将来の価格の予想が難しい。将来値上がりすると思う人もいれば、将来値下がりすると思う人もいる。
だから、決済日が近い先物よりも決済日が遠い先物のほうが高い状態がずっと続くということはない。しかし、vix指数は10よりも低くなったことがない。vix指数が10の時に1ヶ月後のvix指数が12になるだろうと予想する人はいても、9になるだろうと予想する人はいない。vix指数は、株価の動きの激しさを指数化したものだが、将来、株価が全く動かなくなると予想する人はいない。だから、vix指数が10の時や10に近い時には決済日が近い先物よりも、決済日が遠い先物のほうが常に高くなる。したがって、vix指数が10や10に近いときはvix指数先物ETFの資産が減り続け、vix指数先物ETFが下落することになる。
「vix指数は同じところを行ったり来たりする。だからvix指数先物ETFは下がり続ける」とはそういう意味だ。
(さらに次回に続く。)
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