(題名省略)

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生年月日
1980年7月16日
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岡山県

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2024.1.10
去年の末に県立図書館のDVDを初めて借りた。今までツタヤにドキュメンタリーのDVDがほとんど置いていないのが不思議だった。しかし、 県立図書館で借りれば無料かつ貸出期限が2週間なので、店で貸しても商売にならないと思い納得した。ドキュメンタリー「ムガル帝国の興亡」と吉田茂のドラマ「負けて、勝つ」(1、2巻)を借りたが、DVD一枚当たりの時間が短く、もっと多く借りたほうがよかった。

「ムガル帝国の興亡」についてはプラッシーの戦いによってイギリスがインドを実質的に支配するようになったと解説するのは端折りすぎだと思った。「負けて、勝つ」は麻生太郎(5歳)が出てきて面白かった。


2023.10.8
映画「沈黙の艦隊」をイオンシネマのIMAXで見た。 月曜日の割引を利用しようと思ったが、券売機を前にして割引になっていないことに気づき、仕方なく通常料金で見た。

物語は途中で投げっぱなしで、続きが気になる人は原作を読んでという感じだった。 IMAXは音にこだわったらしく、大音量で館内が震える感じがして戦闘シーンは迫力があった。しかし、潜水艦が発する音は水の振動なので、ソナー(聴音)手以外の乗組員に聞こえるのかどうか疑問に思ってしまった。むしろ、音にこだわるなら水上艦同士の砲撃戦の方がよかったかもしれない。


2023.6.26
経済史研究メモが1928年6月まで進んだ。1928年6月4日に張作霖爆殺事件が起こったのだが、 神戸大学付属図書館デジタルアーカイブ新聞記事文庫の「中外商業新報」の切り抜きにはなぜか張作霖爆殺事件関係の記事が無かった。物足りないので張作霖爆殺事件に関する本を1〜2冊図書館で借りて読みたい。

1928年4月12日の「中外商業新報」に、中国側が鉄道建設費の担保になっていた蒸気機関車3台、貨車40両を無断で持ち出し、その報復(それ以外にも原因があるが)として南満州鉄道株式会社が奉天軍の輸送を拒絶したとの記事があった。ちょうど蒋介石の北伐の時期と重なり影響が大きいと思うが、 それが張作霖爆殺事件とどう関わってくるのか気になる。

2023年6月24日のプリゴジンの反乱について真っ先に安禄山(安史の乱、755年)を連想した。インターネットを見てみると、同じように安史の乱を連想する人もいたが、御所巻きとかユリウス・カエサルを連想する人もいて面白かった。


2022.8.9
友清理士『スペイン継承戦争』を読んだ。戦闘に関する記述は淡々としてやや読みにくく、その一方でイギリスの政治に関する記述は詳しくて読みやすく感じた。筆者の前著が『イギリス革命史』なこともあり、軍事史よりも政治史の方が得意なのかもしれない。

スペイン継承戦争は日本ではあまり有名でないが、経済史の面では南海泡沫事件と関わりが深いことがわかった。 南海泡沫事件の原因となるイギリス財政難、貿易独占権、投資資金のだぶつきはスペイン継承戦争の結果、生じたものだった。 まだスペイン継承戦争が終わっていない1711年に、まだ手に入れていない貿易独占権をもとに南海会社を設立するのは、日本史に例えると、まだ日露戦争が終わっていないのに南満州鉄道株式会社を設立するようなもので、バブルの始まりにふさわしいと思った。

ロシア・ウクライナ戦争についても、戦後、両国がどのように財政面の後始末をするのか注意して見ていきたい。


2022.7.6
Wars of Successionに関連して大北方戦争について興味を持って、Wikipediaで調べてみた。

スウェーデン王カール12世が、
・ポーランド・リトアニアの和平提案を断り国王を挿げ替えた
・ウクライナのコサック首長イヴァン・マゼーパを誘ってロシアと戦わせた
との記述があった。プーチン大統領が自分をピョートル1世になぞらえる意味が分かった。ピョートル1世は船大工に変装してオランダに行って造船技術を学んだという印象が強かったが、それはあまり関係がなく、プーチン大統領の目には、

スウェーデン王カール12世 → NATO
ポーランド・リトアニア → ポーランドとリトアニア
イヴァン・マゼーパ  → ゼレンスキー
と見えているようだ。

Wars of Successionは補給が重要で、現地調達もできるが、すぐに土地が荒廃して物資が尽きる。そのため、要塞を包囲するときは、海や川を使って大量の物資を運ぶ必要がある。1709年の大寒波では物資が不足して補給に追われ戦闘どころではなくなった。


2022.3.1
軍事と歴史について今までかなり勉強してきたつもりだが、ロシアウクライナ戦争について全く先が読めない。 昨日の夜、mssn65氏のツイッターを見てウクライナ優勢に思えたが、今日の朝「数日中にキエフ包囲か」のニュースを見てどちらが優勢ともいえないように思えた。

トルコの無人機バイラクタルTB2の活躍を見て、バイカル社について調べてみたが、上場企業ではないようだ。 トルコはNATOの加盟国で、ウクライナの味方をしているように見えるので、欧米諸国からの印象が良くなって株価が上がるような感じがする。 しかし、インフレが酷いので今の段階では買う気になれない。2021.10.18の記事で書いたように世界同時株安(日経平均株価が去年の高値から20%下がる規模の)が起ればトルコ株は買いだろう。


2021.12.20
西川秀和『アメリカ人の物語 革命の剣ジョージ・ワシントン』を読んだ。光栄のゲーム「独立戦争」は好きだったが、アメリカ独立戦争に関する本は今まで一冊も読んだことがなかった。今になって初めてアメリカ独立戦争の全体的な流れと、ゲームでなんとなく覚えた人物の業績が分かった。

商人から物資を調達するときに、アメリカ軍は大陸紙幣(アメリカが負けると価値が無くなる)で支払い、イギリス軍は金貨で支払うので、商人はアメリカ軍を敬遠してイギリス軍ばかりに物資を売るようになったという話が特に印象に残った。補給というと馬車や船で物を運ぶことを考えがちだが、紙幣の信用をいかに保つかという問題もあったのが面白かった。

アメリカ独立戦争は近代民主政の始まりで輝かしいイメージがあったが、この本では、独立派と本国支持派(王党派)の争いや奴隷制などの暗黒面もかなり書かれていた。


2021.12.6

歴史漬けの一日

12月5日 午前中
パソコンゲーム「Pike and Shot Campaigns」のキャンペーン生成機能を使って大北方戦争のつもりでロシア対スウェーデンのキャンペーンをやってみた。騎兵中心の戦いになったが、このゲームの騎兵戦は「Field of Glory2」とほとんど変わらない感じがした。


アメリカ独立戦争を扱った本『革命の剣 ジョージ・ワシントン』
YouTubeで五代十国を扱った歴史解説動画   楚の「贅沢三昧ブラザーズ」という表現が面白かった。

夕方
NHKスペシャル「新ドキュメント太平洋戦争」(昨日の録画)
一般の日本人が対米開戦を支持したのは、日中戦争による生活水準の低下を米英のせいだと誤解したからという説


大河ドラマ「青天を衝け」
NHKスペシャル「新ドキュメント太平洋戦争」

毎週こんな感じなわけではないが、たまたま歴史関係のものが重なった。


2021.9.6
アメリカ南軍の軍歌Stonewall Jackson's Wayを見つけた。ストーンウォール・ジャクソンはアメリカ南北戦争で活躍した軍人で本名はトーマス・ジョナサン・ジャクソンという。南軍の中ではロバート・リーの次に有名らしい。日本史とも少し関わりがあり、彼の名にちなんで名付けられた軍艦「ストーンウォール」は南北戦争後、日本に売却されて甲鉄と改名され宮古湾海戦に参加した。

小川寛大『南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦』を読んだ。以前読んだ南北戦争本と比べて人物に関する記述が多かった。軍事以外のことに関しては全く無能なグラントや、軍事的合理性にこだわり過ぎるマクレランなどの描写が面白かった。ストーンウォール・ジャクソンについても詳しく書かれていた。神がかり的な言動で崇拝者も多かったが、反発する人も多かったらしい。


2021.4.5
ここ1〜2年でYouTubeの歴史解説動画が充実してきた。ひと昔前まで、中国の南北朝時代や八王の乱はインターネットでも数か所しか詳しいサイトがなく、図書館にも詳しい本は多くなかったが、今では動画で気軽に見られるようになった。

最近見たものの中では【ゆっくり解説】グラーフ・ツェッペリン(公開は2年前だが見たのは先週) が特に面白かった。飛行船の開発秘話は感動的なのに、一般市民を攻撃するための兵器として使われ、技術開発競争の末に飛行機に負けてしまうのが皮肉だった。もしも映画にしたら迫力があり、かつ考えさせられるような内容のものが作れると思う。


2020.12.21
『世界の歴史〈24〉―アフリカの民族と社会』を読んだ。地名・人名になじみがないせいか、同じシリーズの 中国史・インド史を扱ったものと比べて読みにくく感じた。

イスラム教関係の記述が面白かった。イスラム教と土着信仰が混ざった結果、コーランの一節を書いた紙を水に浸して、その水を飲むと病気が治ると信じられるようになったらしい。その他、信者には鉄砲玉が当たらないというのもあり、中国の太平天国の乱や義和団事件を連想した。

イスラム教の教義にはキリスト教と共通する部分があり、 世界の終わりにアンチキリストが現れ、イーサー(イエス・キリスト)が復活するらしい。そのためイスラム原理主義組織の指導者がイーサーを自称し、 フランス軍をアンチキリスト呼ばわりするのが不思議だった。同じようなものが現代に現れたら日本のマスコミは説明に困るだろう。


2020.10.19
映画「ミッドウェイ」を見た。アメリカから見たミッドウェイ海戦は、(空母隻数で)少数で多数に勝つ戦いで、適度に情報戦のシーンもあり、対空砲火をかいくぐっての急降下爆撃→命中が見せ場になるので、実に映画向きの題材だと思った。

太平洋戦争を扱った日本の映画よりも遥かに迫力があった。カメラアングルの違いだろうか、製作費の違いだろうか。

映画では、日本軍の航空隊は空を埋め尽くすように見える一方で、日本の空母を攻撃する米軍の航空隊はいかにも数が少ないように見えた。しかし、Wikipediaで確認するとミッドウェイ海戦に参加した日米の艦載機数はほぼ同じだった。


2020.8.10

韓麒麟がくる

途中まで読んで放置していた「通鑑紀事本末」に再び手を付けた。 中国の南北朝時代で、宇宙大将軍 侯景は有名だが、名前そのものが変な人も多数出てくる。標題の韓麒麟をはじめ、婆羅門、菩薩(尉遅菩薩)、洛陽(斛律洛陽)が出てくる、年号の「普通」も変だ。異文化交流が盛んになると変わった名前の人が増えるのかもしれない。

爾朱栄の行動が三国志の董卓に似ていると思いながら読んでいると、ちょうど孝荘帝が温子昇に爾朱栄暗殺計画を告げる時に、爾朱栄を董卓になぞらえたのが面白かった。


2020.7.27

読書が進むゲーム

Pride of Nationsを600ターン近く進めたが、待ち時間がさらに長くなってきた。その時間を使って『世界歴史大系 イギリス史』の3巻を読んだ。1巻、2巻を読むのに4週間かかったのに対し、3巻は3週間で読み終えた。

薔薇戦争に関連してシェイクスピア『リチャード3世』も読んだ。シェイクスピアというとやたらと高尚な感じがするが、普通の歴史小説だった。


2020.5.15
県立図書館が長期休館に入る直前に借りていた『世界歴史大系 イギリス史』の1巻にコロナという役職が出てきた。すごい偶然の一致だ。調べてみたら検死官(coroner)のことだった。 この本の薔薇戦争に関する記述は分かりにくかったので、関連の本をもう一冊読みたい。世界歴史大系に手を出す前に新書の『物語 イギリスの歴史』を読んだ方がよかったかもしれない。

2020.3.30
今年に入ってから色々あったので、経済関連の記事ばかり書いているが、ゲームもやっている。 「Ultimate General Civil War」を攻略し、今は「Pike and Shot Campaigns」をやっている。清教徒革命に関連してルパート王子の生涯に興味を持った。 王子というのはチャールズ1世の息子の意味だと勘違いしていたが、実際にはプファルツ選帝侯(兼ボヘミア王)の息子で、チャールズ1世の甥にあたる。 清教徒革命では王党派の騎兵指揮官として活躍したが、敗戦後もしぶとく生き残り、海賊→海軍卿→植民地総督と変化の激しい経歴を重ねた。 ルパート王子が初代総督を務めたハドソン湾会社は現在も存続し、カナダのトロント証券取引所に上場されている。

『世界歴史大系 イギリス史』の2巻を読んだ。記述が駆け足でやや読みにくい。エリザベス1世の時代のイングランドはカトリックの宣教師を見つけ次第処刑していたらしい。 同時代の日本と変わらないと思った。


2019.9.27

DARPAを見れば未来がわかる

シャロン・ワインバーガー『DARPA秘史』を読んだ。インターネット、ドローン、自動運転などDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)の研究が10〜20年後に商業化される流れがあるようだ。 DARPAから民間企業に転職するなど人事交流もあり、軍事技術を民生品に応用しやすい環境になっている。

最近のDARPAの研究
・サイバー昆虫
・脳に電極を埋め込み電気刺激を送ることでPTSDを治療
・触覚を脳に伝えてくれる義手
から考えると、10〜20年後に神経科学関連の産業が発展すると思う。


2019.8.17
『ローマ帝国衰亡史』10巻を読んだ。東ローマ帝国の最後の100年はオスマン帝国の属国のようになり、この巻は読み物としてはあまり面白くなかった。岡山県立図書館所蔵の『ローマ帝国衰亡史』の最初の数巻は傷みが激しく、最後の数巻は比較的きれいだ。途中で挫折した人が多かったのかも知れない。

全巻を通してキリスト教徒が、異教徒には理解できないような微妙な教義の違いをめぐって争いに明け暮れていた。大航海時代になっても、ポルトガル人がエチオピアまで行ってカトリックと現地のキリスト教の教義の違いを発見し、エチオピア人にカトリックを押し付けようとする記述があった。昔のキリスト教の危なさがよくわかった。江戸幕府がキリスト教を禁止したのは正しかったと思えてならない。


2019.6.27
映画「空母いぶき」を見た。通常料金1800円は高いと思っていたところ、毎週月曜日はメンズデーで1100円になることに気づいた。そして、月曜日の 午後7時にジョリー東宝に行った。館内には僕以外に誰も観客が見当たらず、事実上の貸し切りだった。

敵のミサイルをミサイルで撃ち落とし、撃ち漏らしをCIWS(機関砲)で撃ち落とすシーンがよかった。対空ミサイルもCIWSも艦載機もアメリカ製なので、日本の防衛は明らかにアメリカ製兵器に依存しているような印象がした。原作を大幅に改変しているせいか、敵国の人物は一人しか出てこず、物語の面では原作に及ばないと感じた。


2019.5.31
『ローマ帝国衰亡史』9巻を読んだ。1204年の第4回十字軍によるコンスタンティノープル陥落に関する記述が印象的だった。

・皇帝一族が後継者争いの末に外国勢力を呼び込む
・怒った群衆が元老院を取り囲み「もっとましな皇帝を選べ」と叫び、元老院議員は(皇帝になったら殺されるので)誰も皇帝になろうとしない
・千人の東ローマ兵が一人の騎士を見て逃げ出す

ローマ帝国を支える皇帝、元老院、市民、軍団がそろって駄目になり、このとき東ローマ帝国は滅亡したと 言ってもいいような感じがした。


2019.5.13
塩野七生『ギリシア人の物語』3巻を読んだ。五胡十六国を匈奴・鮮卑の側から見ているような感じがした。 金を使って異民族同士の不和を煽り、また異民族を傭兵として雇っている(夷を以って夷を制する)なかで、異民族に強い指導者が現れて帝国が征服される図式は、 中国史の中でも何回もあったと思う。西ローマ帝国の滅亡もこれに当てはまると思う。

アレクサンドロスの東征軍(3万6千人)は当初、クセノフォンのアナバシス(1万2千人)のたった3倍でしかなかったのが不思議だ。


2019.4.12
クセノフォン『アナバシス』を読んだ。ペルシア帝国の後継者争いの結果、ペルシア領内に取り残されたギリシャ傭兵1万2千人が本国に帰るまでの過程を書いた本だ。現実の指揮官の仕事が「Field of Glory2」とはかけ離れていることがよく分かった。

戦略・戦術・兵器の記述は少なく、食料の確保や軍隊内のもめごとの解決の記述が多かった。傭兵が食料を現地調達するとなると北斗の拳のような悲惨なイメージがあるが、傭兵達はお金を持っているうちはお金を払い、お金がなければ物々交換し、できるだけ略奪を避けているような感じがした。 むしろ、村人のほうが、傭兵をもてなした後で対立する部族への攻撃をけしかけたりする等、したたかな面が目立った(ギリシャ側の視点に立って書かれているからかもしれないが)。

クセノフォンが兵士達に向かって「戦争の勝敗は兵士の勇気と神々の意思で決まる。敵は神に誓った約束を破ったので、神に見放される。」との旨の演説をしたとの記述がある。当時の戦争観がうかがえて面白い。そのせいか、ギリシャ人もペルシア人も神に誓った約束を守ることが多かった。


2018.12.11
大河ドラマ「西郷どん」は明治編が面白かった。幕末が最初の5回ぐらいで、残りが全部明治の大河ドラマを見てみたい。 しかし、その場合、適当な主人公が思いつかない。伊藤博文は韓国が反発するからできないだろう。時代的には桂太郎や井上毅が当てはまるが、 知名度が低く視聴率が稼げない。

NHK大河ドラマの主人公にふさわしくない人を考えてみた。
1位 葦原金次郎(自称征夷大将軍)
2位 宇喜多直家(毒殺と闇討ち)
3位 藤原顕光 (無能)


2018.7.27

三国志でわかる中国軍閥史

杉山祐之『覇王と革命』を読んだ。序章に書いてある通り、まさに「20世紀三国志」といった内容だった。夜間に偽装人形を作って爆竹を鳴らし砲撃を呼び込むなど、三国志演義の戦術がそのまま通用していた。

当時の軍閥指導者も三国志を意識していたらしく、張勲は「曹操の兵め、この張とやるか。」と言ったらしい。その他にも三国志の英雄を気取る人物が出てきて情けない負け方をした後で、白崇禧について「数多いる『小諸葛』のなかでも、白は本物であり」という記述が出てきて笑えた。

21世紀のシリア内戦も三国志でわかるような気がしてきた。


2017.9.18
杉山祐之『張作霖』を読んだ。 『中原の虹』を読んで、袁世凱の死から張作霖爆殺までの歴史書が読みたくなった。ちょうど県立図書館に2017年出版の張作霖の伝記があった。 最近の中国でも共産主義が低調になって、愛国軍閥として張作霖の再評価が進んでいるらしい。 張作霖の息子、張学良は中国共産党の大恩人でもある。

内容はまるで三国志のようだ。 特に張作霖が諸葛孔明に相当する王永江を必要とするあたりが。その王永江が財政再建のために、税金を無駄遣いする外郭団体を解散して、古参幹部の反感を買うのが興味深い。 吉川英治『三国志』の連載開始が張作霖爆殺の約10年後だ。 当時は、三国志を読めば現代中国がわかるような小説だったようだ。

張作霖でさえここまで有能なら、20世紀前半の動乱で最も大きな勝利を収めたスターリンはどれほど凄いのだろうか。


2017.5.22

360度の大転換

神戸大学のホームページで第一次世界大戦中の中外商業新報を読んでいると、アメリカについて次のような文章が見つかった。

新来黄色人種労働者の低率なる賃金が土着白人労働者の賃金標準を破壊し之を同一程度に引き下げんとする傾向に対する白人労働者の自家擁護の結果なり、等しく移民にして唯先着の故を以って後来の低級労働者を拒否せんとするは、自由を生命とする米国にあるまじき筈なれど自由民主的なる丈け彼等の主張は社会的に有力なるを如何せん、与論政治は衆愚政治の半面を有する事を認めざるべからざればなり

現代の状況とそっくりで、100年前の記事とは思えない。


2016.12.8
今日はちょうど真珠湾攻撃から75年目だ。 ふと思い立って、北原白秋作詞の軍歌「ハワイ大海戦」を聞いた。 特に、「天の下せる懲罰」、「正義の決意」と言ってしまう4番が面白い。

たぶん今の流行歌も、後世の人が聴いたら無茶苦茶な歌詞だと思うだろう。
(参考)


2016.10.3

2011年7月 ロシア帝国復活

ロシアの政治家が、太平洋の島を買い取って、一方的にロシア帝国の復活を宣言したらしい。当然、どの国も承認していない。北の大地というイメージのあるロシア帝国が、南の島である段階でインチキにしか思えない。

日本のどこかで眠っているはずのロシア帝国の国債(革命後、ソビエト連邦が踏み倒した)を探し出して、 自称ロシア帝国に持っていけば、償還に応じてくれるのだろうか。
(参考)


2016.9.21

イスラム国と三国志

2000年にシリアで、アニメ「横山光輝 三国志」のアラビア語版「大地の鷹」が放送されたらしい。 シリア人に親しまれるように、舞台を中央アジアにして、劉備をアブドラッフマーン、関羽をハムザ、張飛をヒクマト に改名したらしい。視聴者は劉備、関羽、張飛は髯を生やしているので、イスラム教徒だと思ったらしい。

イスラム国の指導者たちが、「大地の鷹」を見て、自分のことをアブドラッフマーンだと思い込んで、一旗挙げるつもりでイスラム国を建国したのだったら嫌だ。斬首映像も「大地の鷹」の影響だったら嫌だ。


2016.7.10
世界史リブレット『李自成』を読んだ。薄い本だが内容が濃かった。読んでいるうちに、李自成が毛沢東に、明が中華民国に、清が日本に見えてきた。本書によると、すでに毛沢東が1944年の段階でそういう認識を持っていたらしい。 それにしても、誤字が酷すぎる。張献忠に「ちょうちゅうけん」とルビを振ったり、「俺は明の王を殺し陵も焼いた大罪を犯している。決選を挑んでもし敗れれば、俺を殺してから投降しても遅くはない」とせっかくの名言を台無しにしたりする。極めつけは、1643年に李自成に殺された羅汝才が、1644年に李自成の北京撤退に同行している。 死んだ人が何の脈絡もなく復活する本は初めて見た。

2016.6.2
堀口松城『バングラデシュの歴史』を読んだ。約500ページの本で、 独立後の歴史(1971年以降)におよそ半分のページ数を割いている。 日本史では考えられないことだ。 おかげで、バングラデシュの現代の政治情勢をみっちりと学ぶことができた。 ひとつの国に投資するなら、これぐらいの知識は必要だと思った。

バングラデシュには植民地時代から、2つの党派に分かれて激しく争う伝統のようなものがあるようだ。 一例を挙げると、2001年の総選挙の後に新しく政権についた与党は次ような政策を行った。

建国の父の肖像を撤去
歴史教科書の書き換え
休日を金・土曜日からから木・金曜日に変更

政権交代を理由に、日本の援助によるインフラ整備プロジェクトを反故にしたこともあったらしい。 それでもGDP成長率は政治的な混乱の影響をあまり受けず、高い数値を毎年維持しているような印象を受けた。


2016.2.7

中二病軍師 張賓

五胡十六国時代の後趙の石勒に仕えた軍師 張賓の列伝の翻訳を某掲示板で見つけた。 前半生が面白かった。

 張賓は字を孟孫といい、趙郡中丘の人である。父・張瑤は中山太守であった。若くして学を好み、
経書や歴史に詳しかったが大意をつかむところでとどめており、また、闊達でおおいに節度があった。
常々、弟に語っていた。「私の知謀見識は張良にも劣らないと思っている。ただ、劉邦に会っていないだけだ」
中丘王の帳下都督となったが、意欲を抱けず、病気を理由にやめた。

 永嘉の乱の際に、石勒は劉淵の輔漢將軍として、諸将とともに山東に来ていた。
張賓は親しいものに話した。
「私はこれまで多くの将を見てきたが、あの胡將軍だけが共に大事業を行うに足る」。
剣を携え、軍門に行き、大声で呼んで会うことを求めた。
石勒は別段、この時は優れた人物とはみなさなかった。

爆笑。石勒でなくても、こんな人物が後で活躍するとは思わないだろう。 某サイトには「諸葛孔明は引きこもりのニート」という記述があるが、張賓の方が上を 行っていると思う。 しかし、後から考えれば、 張賓が正しくて世の中が間違っていた。


2016.1.24
台湾総統選挙のニュースを見て、 「総統」についてWikipediaで調べてみた。

ナチスドイツの総統については、今まで僕には、大統領と首相の権限を合わせたもの という認識しかなかった。しかし、ナチスドイツにとって、総統とは民族が必要とする時に、より高次の存在(神?)から与えられるものだったらしい。したがって、総統は1回限りの現象で、他人に譲渡できるものではないらしい。 だから、カール・デーニッツをナチスドイツの2代目総統と呼ぶのは誤りらしい。神懸り的な主張で笑えた。

台湾、ナチスドイツ、スペインの他に、クロアチア独立国や南ベトナムの指導者が総統を名乗ったらしい。 ただし、南ベトナムはベトナム語では「総統」なのだが、日本語では「大統領」になっている。

台湾語では、総統=大統領で、たとえばオバマ大統領のことを「美国総統奥巴馬」と書いたりする。 日本語を学習した台湾人には自国の国家元首を「総統」と呼ぶのを避け、「大統領」と呼ぶ人もいるらしい。


2016.1.10

年の初めのフルシチョフ

1月1日に「映像の世紀」の再放送をやっていて、一部見た。標題はその時にふと思いついた言葉で 語呂がいいので使ってみた。中学生の時に全部見た記憶はあるのだが、新しい発見もあった。 宇宙開発=大陸間弾道弾を作る技術の誇示 というのは、今では当たり前に連想するが、 最初に聞いたのは映像の世紀だったかもしれない。 ロケットで宇宙に飛ばされたまま帰ってこれなかった犬とか、水爆実験で被爆した牛 などが出てきた。旧ソ連の動物虐待で十二支が作れるかもしれない。 さすがに、そんな年賀状は誰も受け取りたくないだろう。

2015.10.4
小前亮『飛竜伝』を読んだ。 終盤になっても趙匡胤のアクションシーンがあり、非現実的な感じがした。 三国志演義だと序盤は個人的な武勇が目立つが、終盤になるにつれて 頭脳戦に移行する。そういった流れの方が現実的だと思う。 国が大きくなるにつれて、個人的な武勇で状況を覆すことは困難になり、 大軍を動かすための事務仕事が必要になってくるからだ。 五代十国時代についての情報量も少ないような感じがした。 趙匡胤について書かれた新書を1冊読んだほうが良かった。

2015.6.28
落合淳思『殷 中国最古の王朝』を読んだ。 絵文字のような甲骨文字が、日本人にも身近な漢文として解読 できるのが面白かった。現在では使われていない漢字もあった。 司馬遷の『史記』は殷の滅亡の千年後に書かれた書物だから 当てにならないというのが著者の主張だが、 僕は、逆に、 千年後に書かれたにしては、『史記』はかなり正確だという印象を持った。

甲骨文字からは、殷の人が頻繁に家畜を焼いて神にささげる(その後、食べる)儀式を 行っていたことがわかる。人間の生贄の記述もある。 これが誇張されて、酒池肉林とか、炮烙とかになったのではないか。 ヘロドトスの『歴史』には「ペルシア軍500万」というひどい誇張の例もある。 だからといって、ペルシア戦争そのものが無かったとはいえない。


2015.5.4
5月3日に職場の先輩と岩国基地に行った。 F16の排気口がこっちを向いたときの音がすごかった。アラブの春の時にエジプト軍が戦闘機を飛ばしてデモ隊を 音で威嚇したのを思い出した。(カダフィ大佐はデモ隊を爆撃したが。) 後で調べると、F16は元々ジェネラル・ダイナミクスが開発したが、その後、ジェネラル・ダイナミクスの航空機部門はロッキード・マーティンに売却されたらしい。ロッキード・マーティンの株価を久しぶりに見てみた。今後の下げを予想させるようなチャートだった。

「ドイツ風ハーブ入りソーセージ」を買ったときに、スーパードラッグひまわりで売っている業務用のソーセージのパッケージが、露店の奥に見えた。こういう細かいところで夢が壊れるので店の側は注意が必要だ。


2015.3.22
第一次世界大戦のときの中外商業新報(日経新聞の前身)の切抜きをインターネットで見ている。 第一次世界大戦開戦時に、株価や繊維製品の価格はいったん暴落し、その後急騰したが、米の価格だけは 当初から急騰した。これは、戦争をするなら、兵隊に食べさせるための米を軍が大量に買うだろうとの 思惑が働いたためだ。軍の立場からしたら、開戦のニュースが流れた直後に投機家に米の買占めをされたらかなわない。 戦争をするためには、食糧管理制度が必要だという考え方もうなずける。

鍋島高明『相場師秘聞』を読んだ。これには大正米騒動のことが相場師の視点から書いてあった。当時の仲小路農相は 「断じて米価は低下せしむべし。今に見よ、必ず米価は暴落すべし、たとい刃に血を塗るとも今年の米は責任をもって 安くしてみせる」といったらしい。今と正反対でおもしろい。


2015.2.8
『双調 平家物語』15巻読んだ。この巻で完結。平家物語なのに源平合戦は駆け足で書いているような感じがした。 木曽義仲が関わった戦いについては詳しく書いている一方で、屋島の戦いや壇ノ浦の戦いの記述は簡単だった。 平家物語原作の記述もこんなに簡単だったのか疑問が残る。

平敦盛と熊谷直実のエピソードを読むと、織田信長が敦盛の一節「人間50年・・・」を好んだというの は、また違った意味で解釈できるのではないかと思った。誕生寺を作ったのが出家後の熊谷直実だったことは、 知らなかったのが恥ずかしい。


2015.1.25
水曜日に体調不良で仕事を休んだ。 寝ながら歴史秘話ヒストリアの動画を何本も聴いた。 グリコのコマーシャル動画が流れたのに驚いた。 誰かが、テレビを録画して無断でインターネットに公開するようになって、 その動画サイトに有名企業が広告宣伝費を支払うようになった。 そして、僕は、以前ならテレビを見ていたようなときに、その動画を聴いている。 もはや、民放の経営は成り立たないのではないか。

歴史秘話ヒストリアは、こうなるのもある意味仕方ないと思う面もあるが、 権力者の贅沢について常に肯定的に扱っているのはどうしても納得がいかない。特に、 足利義輝が1食800万円の夕食を食べたことについて、だから室町幕府は亡んだのだ、という コメントがないのはおかしい。


2014.10.5
F-22の初の実戦投入のニュースを見た。Market Hackではロッキード・マーチン株について、いいことばかり書いてあった。 しかし、別のところでは、F-22は爆弾搭載量が少なく、爆撃任務には向かない、高価な戦闘機なのに実戦で使わないと、 税金の無駄使いだと言われるので、無理やり実戦投入したと軍事評論家が解説していた。 最近のMarket Hackは時流に迎合してアメリカ株ばかり紹介していてつまらない。

2014.9.21
宇宙での艦隊戦を扱った無料ゲーム「神々の黄昏」をやった。 インターネット上での評判は悪い(または、ほとんど無名)が、宇宙戦争を扱った無料ゲームの中では、 最もよくできていると思う。ただ、一つだけ致命的な欠点がある。体当たり攻撃をする宇宙船があることだ。 宇宙船は非常に高速で動くので、石ころが当たっただけでも大きな損傷を受ける。体当たりなどしたら自分も無事では済まない。 突撃艦「ブジョンヌイ」が宇宙要塞(小惑星を改造したようなもの)を体当たり攻撃で破壊する様子を見て、 あまりにも現実離れしていると思った。

2014.9.7
今年で、第一次世界大戦開戦100年なので、神戸大学ホームページの 新聞記事文庫で当時の新聞記事を読んでみた。 当時の主な通信手段は電信で、開戦直後に 、「英語、フランス語以外の電信は受け付けない、暗号も禁止」に なったのが面白かった。さらに、暗号を禁止すると文字数が増えて通信料金がかさむので反対する人がいて面白かった。戦争のため、情報量が 増えて電信員は不眠不休、電報が届くのが遅れるようになった。

青島にドイツ軍の艦隊がいると、海上保険料が上がるので追い払って 欲しいとの内容の記事があった。海軍の重要さがうかがえた。

1914年の10月の記事にドイツが戦費調達のために外債を募集してもアメリカの資本家が一切応じず、他方、フランス、ロシアに対しては、戦費を貸す話が進んでいるとの記事があった。アメリカの資本家は 協商側が勝つと予想したわけで、もうこの時点で第一次世界大戦の決着がついたような感じがした。


2014.9.7
5月の話だが、 歴史秘話ヒストリアで富岡製糸場をやっていたので、 見てみた。 オープニングの雰囲気などがすっかり女性向けになっていて驚いた。富岡製糸場の次が井伊直虎(戦国時代の女性領主)で、その次が卑弥呼だった。しばらく見ないうちに、こんなことになっているとは思わなかった。

2014.8.24
日本史上、一番ひどい悪人だと思う1位「明智光秀」 というのがあった。明智光秀が日本一の悪人というのもどうかと思うが、 日本史上のどんな悪人を思い浮かべても、中国の張献忠の足元にも及ばない。

張献忠は中国の明王朝末期の反乱指導者で、四川省で元々310万人いた人口が1万8千人になるほどの大虐殺を行った人だ。 虐殺の理由も意味不明で

ある時、虫の居所が悪かった張献忠は、部下に命じて自分の息子や妻妾たちを皆殺しにした。翌日その事を忘れて、息子や妻妾たちを呼び出そうとしたのだが、現れるはずも無い。自身の行いを思い出した彼は、「何故止めなかった!」と部下を皆殺しにした。

終始こんな感じだ。

明智光秀の名言は「敵は本能寺にあり」だが、 張献忠の名言は、

天生万物以養人   天はあらゆる物を与えて人を養うのに、
人無一物以報天  人はそれに一切報いることがない。
殺殺殺殺殺殺殺  殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ

だから、明智光秀は足元にも及ばない。

ちなみに僕が日本史上の悪人を挙げるとすると、
1位は戦国の奇行子★宇喜多直家(岡山県びいきか)
2位は牟田口廉也
となる。


2014.7.13
職場の先輩から借りた雑誌『歴史群像』の中の片岡徹也氏の連載が 面白かったのだが、突然途切れてしまった。よく見たら、『歴史群像』 の目次に片岡氏の死亡記事があった。

その片岡氏の最期の連載に次のような言葉があった。

高等用兵の術に到達するにはただ戦史の研究、過去の名将の会戦の 研究、それに自らの体験を加えて批判的に省察するしかない

シャルンホルスト(ナポレオン戦争の時代に活躍したプロイセンの軍人)の師匠の言葉らしい。ドイツではこのような考え方が 脈々と受け継がれ、それが、第2次世界大戦時のドイツと日本の将校の 質の差になって現れたというのが片岡氏の主張だが、それはさておき、 株についても同じことが言えると思う。つまり、株で儲けるためには、 経済の歴史の研究、過去の名投資家の研究が必要だと思う。 そんなことを考えている時に、Market Hackでポルトガルの銀行問題が 昭和恐慌の時の鈴木商店と台湾銀行の癒着に似ているとの記事があった。

神戸大学のホームページで昔の経済新聞を読むのが進んでいないが、 今後は進めたい。ヘティ・グリーン研究も。


2014.6.15

DARPAは現代の世界七不思議の1つ

職場の先輩から借りた現在開発中の兵器に関する本で、 DARPAに関するものが笑えた。 DARPA(ダーパ)はアメリカ国防高等研究計画局の略で、大統領に直属する機関で、 軍事の役に立つ研究を募集して、研究費を援助している。 インターネットやGPSの開発にも関わった凄い組織なのだが、一方で、
・反重力装置
・雨雲を制御してテロリストの頭の上に雷を落とす装置
・昆虫の神経に電極を刺して動きを制御(偵察に利用)
などの研究も援助していて、僕はDARPAの名が出てくるたびに笑えるようになってしまった。

この本では
・翼幅122メートル、太陽電池で5年間飛び続ける無人偵察機
・四足歩行の輸送用ロボット
・前もって注射すれば、戦場で負傷しても痛みを感じない鎮痛剤
がDARPAの研究として挙げられていた。わざと異常なものを選んでいるようにしか思えない。

参考


2014.5.18
吉田忠夫『劉裕』を読んだ。劉裕は中国の宋の初代皇帝。 八王の乱→五胡十六国と進んで、ついに東晋滅亡まで来た。 社会の底辺から皇帝に上り詰めた劉裕に、筆者が共感するあまり、 学術書なのか小説なのか分からないような本になっていた。 劉裕がすることならクーデターでも、粛清でも肯定的に書かれていた。

質素倹約についての逸話がよかった。劉裕が、琥珀をもらうと、すりつぶして傷薬にして兵士に分け与えたとか。また、自室に貧民時代の鋤や鍬を置き、若い頃の苦労を忘れないように努めたとか。しかし、劉裕の死後、宋は急速に華美贅沢になっていったらしい。数代後の宋の皇帝は、 臣下(貴族)に自室の鋤や鍬の由来を聞かれ、恥ずかしさのあまり赤面してしまったらしい。 この本が書かれた1960年代から2014年にかけての日本が急速に贅沢になっていったことと重なるような感じがした。

劉裕のツイッターもあった。無名な司馬亮はともかくとして、なぜ、比較的有名な劉裕をハンドルネームにするのだろうか。名前をつける前にインターネットで調べないのだろうか。


2014.5.4
ガルシア・マルケス『百年の孤独』を読んだ。
評論家は魔術的リアリズムと言っているが、僕には、マコンド村ブエンディア家の歴史を書いているように思えた。不思議なことが次々と起こるのは、それほど気にならなかった。というのが、最近、通鑑記事本末で五胡十六国の歴史を調べていると、火星の運行で国の滅亡を予言するなど、現実離れした逸話が出てきたからだ。中国史に詳しい人なら(それ以前の問題として三国志を読んだことがある人なら)歴史の本に少々現実離れした逸話が出てきても驚かないのではないか。

『百年の孤独』の最後4分の1ぐらいは本当に現実離れした話になってくるが、その部分は、あまり面白くなかった。僕にとって面白かったのは、自由党と保守党の内戦に、ブエンティア家の人たちがどう関わったか、あるいは 関わらなかったかとか、バナナ農園の労働争議などの話だ。日本では文学といえば、現代の小説家自身の生活を書いたような、スケールの小さい感じがするが、世界の文学の主流は違うのかもしれない。


2014.4.6
ニコニコ動画のドキュメンタリー「人間史」シリーズを途中まで見た。 内容は、ほとんど既に知っていることばかりだが、所々新しい発見がある。 特徴的なのは、

活版印刷
  ↓
「東方見聞録」を読んだコロンブスが新大陸へ
  ↓
新大陸から銀が流入
  ↓
インドの景気がよくなり、タージ・マハルが建設される

というような経路で説明するところだ。ゲーム「シヴィライぜーション」を連想するが、アメリカではこういう歴史叙述が一般的なのだろうか。


2013.12.29
職場の先輩から借りた第二次世界大戦ブックス『空母』を 読み終えた。もう空母のことは十分知っているつもりだったが、 その本は連合国の視点から書かれているので、目新しく感じた。 イギリス空母と地中海の海戦にもかなりの紙面が割かれていた。 アメリカから見るとレイテ沖海戦でさえも米軍が苦戦しているように 見える。

「愛国的な宗教の一種である武士道」とか「東条内閣の狂信的な 軍閥たち」という表現も面白かった。


2013.12.15
西晋演義と同じサイトの、漢の文帝の小説を読んだ。呂后や武帝は比較的有名だが 文帝や景帝の時代はあまりり有名ではない。 それでも、西晋の八王の乱に関する本を読んだ後で、 前漢の呂氏一族が滅亡したときの歴史を再度読んでみると 、余りにも似ていてびっくりした。 実は、漢の文帝の時代は統一王朝が長続きするかどうかの分かれ目 だったのではないか。

漢の文帝は中国史上屈指の名君といわれるが、 そのエピソードが面白かった。
臣下が賄賂を取ったら、生活に困らないように金を与えた。
呉王が病と偽って参勤しないので、杖を与えた。
匈奴が条約を破って、国内で略奪をしても許した。

これは、皇帝の権力が弱くて何もできないので、負け惜しみ を言っているだけのような気がした。サダム・フセインが湾岸戦争で 勝ったと主張しているようなものだ。近代以前の為政者も、 君主の権力を制限した方が良いことに、うすうす気付いていたのではないか。


2013.12.15
法というものは、天子が天下の民とともに公共のものとして守るベきものです。いま、法がこう定めてありますのに、さらに重罪にいたしますと、法は民に信頼されなくなります。
紀元前の中国で、すでにこういう主張があった。現代の北朝鮮は、 どうだろうか。

真珠湾を三重県の湾、B29を非常に柔らかい鉛筆と勘違いしたり、 挙句の果てには英霊をイギリス軍の幽霊と間違えるご時勢
爆笑。空襲警報発令のサイレンが鳴り、サーチライトが揺れる空に、大量の鉛筆が浮かんでいる様子が目に浮かぶ。


2013.11.3
久しぶりに風邪を引いて、昨日と今日はほとんど寝て過ごした。 職場の先輩から借りた『歴史群像』を読んだり、大河ドラマ「草燃える」の総集編を見て(聴いて)過ごした。「草燃える」は1979年 のドラマなのに、登場人物の話し方が今と微妙に違う。 こっちの北条政子は、決して弓を持って草むらを駆け回ったりしない。 たった30年ちょっとでここまで変わってしまうものなのか。

義経が勝手に任官したとき、頼朝がどう思ったかなど、歴史の転換点における関係者の考えが長いせりふで表現されているのが味がある。


2013.8.25
ドラマ「蒼穹の昴」をインターネットで見た。数年前に レンタルDVDで途中まで見たが、いつの間にかツタヤの 店頭から消えてしまった。続きを見たいと思っていたところ、 最近、インターネットで発見した。 続編の『中原の虹』も読みたい。 張作霖が主人公なのが興味がある。張作霖といえば、 列車が 爆発して死んだ人というイメージが一番強く、情けない人物のような感じがするが、 どんな風に格好良く書かれるだろうか。

2013.7.14
映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」を見た。戦闘シーンが短かったのが不満だった。戦闘シーン以外の部分は演出が極端で、 アメリカ人に向けて、山本五十六は悪くないということを伝えようとした映画という印象を受けた。何が極端だったかというと、真珠湾 攻撃前に外務省に対して開戦前に最後通牒を渡すよう念を押して いる場面があるが、連合艦隊司令長官は外務省のすることに直接口出しをする権限があったのだろうか。例えあったとしても、真珠湾攻撃直前に そんな事をする暇があったのだろうか。

日本はナチスドイツと同盟したから悪、真珠湾攻撃はだまし討ちだから日本は悪というのはアメリカ人の常識なのかもしれないが、何の 予備知識もない日本人がこの映画を見ると、 何で三国同盟反対や事前通告 を強調するのか訳が分からなくなるのではないか。


2013.6.16

歴史小説家はゆま氏

Wikipediaで前漢初期の歴史(呂氏粛清の経過は八王の乱と似ている)を調べていると

恵帝が登場する作品
小説 『劉邦の宦官』(黒澤はゆま)

という記述があった。変わった名前なので検索してみると、黒澤はゆま氏のブログ(はゆま荘) が見つかった。トップページがアニメ絵で、エヴァンゲリオンや魔法少女まどか☆マギカの感想、 信長の野望に関する記述 が出てくる。今まで、歴史小説家というのは、もっと固い人だと思っていた。 小説の方もそのうち読みたい。


2013.3.24
僕は、歴史や戦争に関する音楽に昔から興味を持っているが、 とりわけ、中国の軍楽がどんなものか聞いてみたいと思っている。 インターネットで調べると、唐の軍楽(鼓吹)を日本が取り入れた ことや、 清が西洋の軍楽を導入するまでは伝統的な鼓吹を演奏していたという ことはわかるのだが、音声情報は見つからなかった。

最近、朝鮮王朝の軍楽「大吹打」を見つけた。 なんとなくトルコの軍楽と似ていて、 起源が同じだったのではないかと思った。 残念なことにインターネットで 探しても曲が2種類しか見つからない。
(参考)


2013.3.10
橋本治「双調 平家物語」8巻で遂に「ヒデヨシ」が登場した。宇多天皇5世の孫、佐々木三郎秀義のことだ。佐々木秀義は佐々木高綱の父で、南北朝時代の佐々木道誉や戦国時代の六角義賢は佐々木秀義の末裔にあたる。8巻は源為朝の活躍を中心に保元の乱の戦闘場面がかなり詳しく書かれてあり、 次の平治の乱や治承・寿永の乱がどう書いてあるか楽しみだ。 保元の乱に参戦した武士には 八郎とか七郎とか兄弟の数が多そうな名前の人がやたらといて、源平合戦は 日本の人口が増えすぎて土地が足らなくなったことが原因の1つではないかと思った。

2013.2.24
橋本治『双調 平家物語』7巻まで読んだ。去年の大河ドラマを見て、そういえば平家物語を読んだことが ないので読んでみようと思った。図書館で平家物語の現代語訳の本を探していると、平家物語なのに1巻に蘇我馬子が出てくる本があり驚いた。そこから保元の乱に至るまでの日本史が延々と続く。

平清盛がまだ出てこないのに6巻で信長が出てくる。信長といったら織田信長しか思いつかないが、 ここで出てくるのは藤原道長の孫の藤原信長だ。「信長は・・・」という記述を見ると、戦国時代 の話にしか思えない。面白いのでインターネットで藤原信長を検索すると、「藤原信長検定」 というものがあった。4択クイズに答えると認定証がもらえたが、5人しか受けた人がいないらしい。 ちなみに織田信長も一時、藤原信長を名乗ったことがあるので訳が分からない。

7巻で「イエヤス」が出てくる。六条流藤原氏の藤原家保だ。次は秀吉かと思ったら北政所が出てきた。 保元の乱で敗れた藤原頼長の妻が北政所と呼ばれたらしい。3位以上の貴族の 正室はみんな北政所と呼ばれた時代があったようで、北政所は一般的な称号らしい。



2013.1.27
1月24日に職場の食堂で山陽新聞の1面をぼんやり読んでいると、 考古学の記事がいつの間にか北朝鮮のミサイルの記事になっていた。 紙面が入り組んでいたので錯覚したようだ。 同じ日の国際面では、アルジェリアで忍者が 銃撃戦を繰り広げていた。あまりにも面白かったので、こんな怪文書を作ってしまった。

防衛省は、昨年12月に南方遺跡で出土した事実上の弾道ミサイルに関する報告書をまとめた。 双翼式銅鏃と呼ばれる国内では初めて確認されたタイプで、 射程は一万`以上に及ぶ可能性が あると分析、米本土の西海岸に到達可能な技術を保有する恐れが強まった。 銅鏃を発見した防衛省幹部によると、北朝鮮の技術向上の背景には、 「戦国の七雄」の強国・燕の王都(河北省)といった 「中国文明の中心地域との交流がうかがえる」という。 報告書は北朝鮮のミサイル開発は「新たな段階に入った」と強調。 日本の安全に対する「脅威が増大」し、「国際社会にとって重大な懸念」と断じた。 同時にミサイル技術の第三国への移転や拡散につながらないよう国際社会に警告している。

今も昔も兵器(飛び道具)の技術が拡散するのは変わらないようだ。ただし、 双翼式銅鏃は実戦的な武器ではなく、祭器だったようだ。深読みすれば、 弾道ミサイルも多分実戦では使われず、外国への威嚇と国内をまとめるのに利用される祭器の 一種だと言えなくもない。


2012.12.2
大河ドラマ「平清盛」で清盛が「わしに逆らう者は、皆死罪と心得よ。」と言った のが面白かった。権力に狂った独裁者が言いそうな典型的なせりふだ。 「平清盛」は前から映像が暗いという評判はあったが、別の意味で暗い感じがした。 視聴率が低いので製作者がやけくそになったのだろうか。

「大河ドラマ史上最も視聴率が低かった平清盛はどんなドラマだったのか。」
「主人公が錯乱して、”わしに逆らう者は、皆死罪と心得よ。”と口走るようなものだった。」

と後々まで語り草になるだろう。


2012.9.23
職場の先輩から借りた、新・歴史群像シリーズ『朝鮮戦争』を読んだ。 師団・連隊単位の動きの意味が分かって面白かった。ゲームThe Operational Art of Warをやっているような感じがした。 今まで読んだ朝鮮戦争の本でも同じような記述があったのかもしれないが、 多分、漫然と読んでいたのだと思う。特に北朝鮮・中国軍が、 敵の防御の手薄なところを衝くのは理に適っていると思った。

「中国軍の攻撃要領は、翼側や間隙から潜入し、 側背と正面から攻撃しつつ同時に退路で待ち伏せるのを常としていた。」

との記述があり、三国志を連想した。朝鮮戦争の中国軍は、 小銃を持っていること以外、三国時代の軍隊と変わらないのではないかとさえ思った。 (そもそも、『三国志演義』は大砲や地雷が出てくるので、 三国時代の戦術を正確に記述したものではないが。)


2012.9.9
『図説 中東戦争全史』を県立図書館で借りて読んだ。今まで読んだ中東戦争の本と比べて、 エジプトのサダト大統領の評価が異様に高かった。人物列伝の中でも最初にサダトが挙げられていた。 サダトが、第4次中東戦争の緒戦の勝利を外交交渉に生かすところや、 最終的に、暗殺覚悟でイスラエルと和平するところを読むと、 それに比べて第二次世界大戦中の日本の指導者は・・・と、どうしても思ってしまう。 サダトが優れた戦略家になったのは、歴史書を好み、5年間投獄されたときに読書したからだ、 といったことを思わせる記述もある。読んでいて嬉しいが、読者が喜ぶようなことを狙って書いているのではないか (そもそもこの本を読むような人は、旧日本軍に批判的で、歴史書が好きだ)と 少し思った。

僕よりも先に借りた人が、本の間違い(固有名詞の誤り)を鉛筆で訂正していたのも面白かった。


2012.8.5
運転免許の更新で岡山の運転免許センターに行った。 「孫子の兵法に学ぶ 安全運転の手引き」というビデオを見た。 ビデオの終わりのほうで、 現在の交通手段は車、昔の交通手段は馬という表現があり、 古代中国の武将が馬に乗っているイラストが出てきた。 そのとき、ふと、「なんでこの人は馬に乗っているのだろうか」という疑問が僕の頭に浮かんだ。 確か、中国で直接馬に乗って戦争をしたのは、趙の武霊王が最初で、それ以前は 戦車(馬車)で戦っていたはずだ。孫子(孫武)は春秋時代に呉の武将として 活躍したが、その頃にはまだ趙は建国されていなかったはずだ。

今から2000年後には、最近の歴史知識も次第に忘れ去られて、 戦車隊を指揮するナポレオンのイラストも見ることができるようになるかもしれない。

参考1
参考2


2012.5.13
八王の乱について調べるため、福原 啓郎『西晋の武帝 司馬炎』を読んだ。 今までに他のところで読んだことのまとめのような感じで、目新しい知識はなかった。 だいたい、八王の乱の経過は覚えた。八王の個人個人の人柄が分かるような エピソードがあれば面白いのにと期待したが、無かった。そういったものは現代に 伝わってないようだ。

西晋八王の一人、司馬亮(司馬懿の子、司馬師、司馬昭の弟)をインターネットで調べていると、 同姓同名の人物がスーパーロボット大戦に出ていて笑えた(参考)。読みまで同じだった。 アニメを作るときに同じ名前の実在の人物がいることに気づかなかったのだろうか。 西晋は内乱の末に異民族の侵入で滅亡し、東晋は皇帝の権力が弱かったので、司馬という姓の情けない歴史上の人物が大量に出てくる。したがって、ペンネームや創作上の人物名に司馬という姓を 使うと、情けない歴史上の人物と名前が一致してしまう危険性が高い。

司馬亮のツイッターも発見した。(http://twitter.com/#!/Shiba_rc)


2012.4.29
職場の先輩から借りた『現代の航空戦』、『F35 VS 心神』を読んだ。 以前、職場の先輩に「現代ではどんな戦闘機が強いのか。」「F15とF22は ステルス以外でどう違うのか。」という趣旨のことを聞いたことがあった。その時は、 ミサイルをたくさん積めるとか、電子戦とかの話になったと思う。 『現代の航空戦』を読んで、計器類の見やすさも重要なことがわかった。 計器類が見にくいと、パイロットは戦闘に集中できない。『現代の航空戦』 にはF15の計器版の写真が載っていた。計器が余りにも多くてうんざりした。 F/A18の計器版では多少改善されていた。『F35 VS 心神』 にはF35のコックピットの写真が載っていたが、計器類はなく、一枚の 液晶モニタがあるだけだった。飛行機を飛ばすための制御はコンピュータに 任せて、パイロットはできるだけ戦闘に集中させるのが現代の流れらしい。

F22とF35の外見が似ているので区別がつかなかった。しばらく見た後で、 排気口が1つなのがF35で2つなのがF22だと分かった。ロシアのT50も 似たような形をしている。今後も似たような形の戦闘機ばかり開発されるようになったら つまらないと思った。

『現代の航空戦』でETF(改良強化型戦術戦闘機)という言葉があったのが面白かった。 FXも経済用語と軍事用語で意味が違うので面白い。ある自衛官がFXやETFの話を していて、本業に熱心な自衛官が話に加わろうとしたら全然別の話だったというような 悲劇は起こらないのだろうか。話は変わるが、アフガニスタンから日本に来た留学生が「RPGツクール」を見たら、勘違いして衝撃を受けるのではないか。


2012.4.1
宮城谷昌光『草原の風』を読んだ。後漢の光武帝が主人公だ。上巻と中巻は緻密さに 感動したが、下巻は駆け足だった。光武帝に最後まで抵抗した公孫述がどんな人だったか分からなかった。光武帝の軍は略奪しないとか、河北の行軍などは毛沢東を連想した。 反王莽で挙兵した人のうちの大部分が劉氏を担いでいるのが興味深かった。外戚(王莽)に皇族が対抗し、その後皇族同士の内乱になる構図は八王の乱と似ている。晋が皇族を優遇したのは、魏が皇族を冷遇して滅んだからだけではないと思う。

小説の良し悪しは別として、光武帝の時代が、他の時代より面白いかというと、そうではない。 光武帝の時代は単に善人が勝ったというだけで小説としては面白くない。 善人だけど勝てない劉備(三国志は見方がいろいろあるがここは三国志演義で)や、単に善人では片付けられない劉邦のほうが面白い。 今後、光武帝が劉備や劉邦よりも日本で有名になることは まずないだろう。


2012.3.4
小前亮『王道の樹』を読んだ。前秦の苻堅が主人公の小説だ。 通鑑記事本末を想像力で膨らませたような内容だった。歴史の知識としては目新しいものがなかった。 ただし、シ肥水の戦いのところはよかった。通鑑記事本末のシ肥水の戦いはあっけなさ過ぎる。 『王道の樹』はシ肥水の戦いで終わるのだが、苻堅が暴君化する前兆のようなものさえついに 出てこなかった。曹操が主人公で、赤壁の戦いで終わる小説ならああいった終わり方で いいと思うが、苻堅の死に様を考えると、無理な終わり方だったと思う。

2012.2.19
ツタヤでBBCドキュメンタリー「世界に衝撃を与えた日」のDVDを 何本か借りて見た。例によって、家事をしながら聴くので、日本語音声にしている。 真珠湾攻撃を扱ったものが特に面白く、見どころ満載だった。 当時の世界情勢の解説で「ロシアではナチスドイツが首都モスクワを完全に包囲」と言っていた。 あまりにおかしいので、英語音声に変えて何度も聞いてみた。 英語音声ではoutside barricadeと言っているように聞こえるので、誤訳らしい。

キンメルが真珠湾攻撃の第一報を受けるシーンも面白かった。休日なので、白い半そでシャツ、 白いトランクス姿だった。どこにでもいる普通のおじさんにしか見えなくて笑えた。 軍服の重要さがよくわかった。


2012.1.8
職場の先輩に借りた『歴史群像』のタラワ攻防戦の記事が面白かった。 日本軍の火力と米軍の肉弾戦という一般的なイメージと逆の構図がよかった。 「艦砲射撃はタコツボに隠れていればやり過ごせる」という証言がある一方で、 絶えず支援砲撃を行なった場所では、順調に上陸が進んだという記述がある。 つまり、砲撃は歩兵を殺傷する効果はなく、一時的に動きを止める効果がある。 Steel Panthersは、現実的だと改めて思った。Steel Panthersで日本軍が 戦争末期にトーチカを多用して手強かったことを思い出した。

2011.12.25
八王の乱の関連人物を調べていると、 司馬鬱という名前を見つけた。司馬鬱は司馬炎の孫だが、司馬柬の後をついで秦王になった後 に殺されたというぐらいの記述しかない。鬱という漢字の現在の意味を考えると、 人名に使うのはおかしい。

インターネットで検索すると、司馬鬱というハンドルネームの人がいた。 多分、実在の司馬鬱のことは知らないのだろう。ハンドルネームを考えるときは、 同じ名前がないか検索したほうがいい。


2011.12.8
映画「レッド・オクトーバを追え」をDVDで見た。 レッドオクトーバー賛歌はパソコンゲームをやるときによく聴いていたが、 映画は初めて見た。 冷戦末期の雰囲気を楽しむことができた。 アメリカとソ連が世界の2大強国だったとか、 ソ連軍内に政治将校がいて、自由にものが言えないとか、核ミサイルの撃ち合いで 人類が滅亡する危険があったとか、1本の作品に その時代の特徴が良くまとまっているような感じがした。 政治的には遅れている(現代の目で見ればの話)ソ連が、まるで未来の宇宙船のような 最新鋭の原子力 潜水艦を操っている映像がよかった。第二次世界大戦のソ連軍とはまた違う趣があった。

そういえば、今年でソ連崩壊20年だ。ソ連最後の指導者ゴルバチョフは、 BRICsという言葉を初めて聞いた時にどう思っただろうか。


2011.12.8
宮城谷昌光『三国志』3巻を読んだ。八王の乱や五胡十六国についてこれぐらい詳しい小説が あればいいのにと思って、インターネットで検索すると、『晋書』の翻訳を進めているホームページ「解体晋書」を見つけた。 東晋の初代皇帝の伝記や、東晋の建国を助けた王導の伝記が面白かった。 こういうのに参加してみるのも面白いかもしれないが、僕には『The Witch of Wall Street Hetty Green』の翻訳があるので見るだけにする。

「いつか書きたい三国志」の中にも『晋書』の翻訳があった、匈奴の劉淵(劉元海)が劉禅の後継者を自称して 国号を漢にするのが面白かった。劉淵の頭の中では後漢の献帝の次の皇帝が劉備でその次が劉禅で その次が劉淵という事になっているらしい。


2011.10.16
高橋崇『坂上田村麻呂』を読んだ。 『坂の上の雲』と語呂が似ていて、坂の上の雲と聞くたびに僕は坂上田村麻呂を連想するので、 、坂上田村麻呂の本を読んでみようと思い立った。

この時代の歴史書、日本後記が一部散逸しているせいで、田村麻呂と阿弖流爲の戦闘についての 記述はほとんどなく、その一方、田村麻呂が参加しなかった巣伏の戦いについては詳しく書かれている。 それでも、巣伏の戦いについては、準備した食糧何万石、一日にどれぐらい進軍したか、 さらに戦死者の数が一桁まで書かれているのが時代を感じさせられて面白い。 兵力が5万人で食糧が3万石なら、1人が1年に1石食べるとすると半年程度で決着をつけないと 危ないなどと考えながら本を読み進めることができた。 結局、朝廷軍の拠点から前線に食糧を運ぶまで10日かかって、その食糧が11日分しかもたない という事になった。巣伏の戦いはこんな状態で朝廷軍が負けたが、この後、田村麻呂はどうやって勝てたのか 不思議だ。


2011.6.26
『遠すぎた橋』のDVDをアマゾンで買って見た。最初、郵送でDVDをやり取りする レンタルを使おうとしたが、クレジットカード決済しか扱っていないのでやめた。 僕は前からなんとなくインターネットでクレジットカード番号を送信するのは危ないと 思っていたが、この前のソニーの事件で本当に危ないことが分かった。 その点、アマゾンはコンビニでギフト券を買えば決済できる。

特に最初の戦闘シーンが迫力があった。砲撃の着弾地点が徐々に前に進み、 それを追いかけるように戦車が前進する。ドイツ軍はタコツボに隠れて砲撃をやり過ごし、 素早く態勢を立て直して配置につく。一つ一つの行動が理に適っている。

僕にとって戦争映画は、戦闘シーンが主で、物語はおまけのようなものなのだが、 物語もよかった。高級軍人の愚かさや冷酷さ(兵士の損害を何とも思わない点)を 感じられた。


2011.1.9

森本繁『剣酢漿草の乱舞』

宇喜多直家の生涯を扱った小説。 この前「戦国の奇行子 宇喜多直家★フェス」の記事を書いたのがきっかけで、 宇喜多直家の生涯に興味を持った。 期待通りの陰険な内容だった。政略結婚で相手を油断させてからの闇討ちとか。 戦国武将の中でも、ここまで卑怯な人は 珍しいのではないだろうか。 宇喜多直家本人だけでなく、羽柴秀吉の上月城攻めや、戸川秀安の生い立ちなど 悲惨な逸話満載だった。 歴史好きの岡山県民で、宇喜多直家のことを知らないのはもったいない。 天神山城、飯岡城(鷲山城)、周匝城など、僕にとって身近な城が出てくるのも面白かった。

2010.11.4
先月、職場の先輩と岐阜の航空祭を見に行った。特に、 僕にとってはパソコンゲームでおなじみの F15やF4の飛ぶ姿が見れてよかった。思ったより音が大きかった。 音を聞いているうちに何の脈絡もなく敗北感がした。あえて理由をつけるとしたら、 ジェット機を持っていない国がジェット機を持っている国と戦争した場合、 敵国のジェット機が空を飛んでいたら、もう戦争は負けたと感じる といったところだろうか。鉄砲や大砲の音に威嚇効果があるのを連想した。

2010.9.26

第二次世界タイ戦

最近、自分の中でなぜかタイ王国がブームになっている。 不正をはたらいた警察官に、罰としてキティちゃんの腕章をつけさせるとか、 軍の司令官がテレビで全国民に向けて「クーデターは遊びではない。」と宣言するなど、 面白いニュースが多い国だと前から思っていた。「今日はクーデターだから、テレビが つまらない。」というのもタイ人の名言だ。

最近になって僕は、第二次世界大戦中のタイの外交史を知って驚いた。第二次世界大戦で タイは日本に味方して、英米に宣戦布告したが、1945年8月16日に 「宣戦布告は摂政の署名が無いので無効」と宣言した。この宣言をアメリカが承認したので、 タイは敗戦国にならずに済んだ。何も突然、場当たり的に宣戦布告無効宣言をしたのではなく、 それ以前に様々な工作をしていたらしい。例えば、タイの首相が大東亜会議への出席を断ったり、 連合国に協力する自由タイ運動を政府が黙認したりしたらしい。ちょうど、 最近見たドラマ「独眼竜政宗」で、 花押に穴があいていないので、文書は偽物と、豊臣秀吉に弁明するの をやっていた。自由タイ運動の黙認は、 日本の戦国時代に当てはめるなら、真田家の生き残り戦略と似ている。


2010.9.12

ビパン・チャンドラ『近代インドの歴史』

インドの高校の歴史教科書の日本語訳らしいが、 インド独立を擁護するあまり、おかしいことになっている。 インドの独立を擁護する立場だと、イギリスのインド支配は悪なので、筆者は、 イギリスの圧制を盛んに強調している。しかし、ムガル帝国やデリー・スルタン朝 も外来の支配者であることには変わりがない。筆者は、 ムガル帝国はインドに同化したが、イギリス人はインドに同化せず、 白人専用のクラブや白人専用の列車を作って、人種差別を行ったと述べている。 そこだけを見ると説得力があるが、筆者は、別のところで、インドの不可触民 について述べている。「不可触民に触れてはいけない」 「不可触民は、他の身分の人が使う井戸を使ってはいけない」などの差別があったようだ。 これでは、先の人種差別とどこが違うのかと思ってしまう。 さらに、藩王国について、このような表現もある。

歴史的にみて、国内の反乱や国外からの侵略といった脅威もあって、 腐敗し堕落した支配者たちの横暴は、いくらかでも歯止めをかけられてきた。 しかし、イギリス支配はこうした脅威をとりのぞいたから、 彼らは好き勝手に暴政にふけることができたのだ。

1857年のインド大反乱以降、イギリスは藩王国を保護するようになった 結果、このようになったと述べている。この文章は、読みようによっては、 外国からの侵略がなければ、自国の支配者は腐敗堕落するので、 適度に外国からの侵略があったほうがよいという風に読めてしまう。

ある本の主張が、別の本の主張と食い違っているのは、ごくありふれているが、 同じ本の中で主張が食い違っている(ように読める)のは珍しい。


2010.8.29
1995年にエクアドルとペルーの間で戦争(セネパ紛争)があったことを最近知った。 The Operational Art of War 3のシナリオにEcuador95があるが、どうせ架空の戦争を扱ったものだろうと思っていた。 TOAWの世界には架空の戦争を扱ったものも多い(America Invaded - JapanとかKorea99とか)。 シナリオの解説を読んでみると、史実と架空の混合と書いてあったので驚いた。 ペルー大統領アルベルト・フジモリについては、当時の日本でもかなり報道されていたのに、 セネパ紛争については、まったく報道されなかったような気がする。 そもそも、 インターネットでセネパ紛争を検索しても、日本語では詳しい情報がない。それでも、英語の Wikipediaがあったので読んでみた。

セネパ紛争は、1995年1月から2月にかけて起こった。 主に空軍の戦いだったが、経済危機のせいで、 両国とも飛行機の部品が手に入らず、整備不良のため飛ばせない飛行機が多かったらしい。 (これは、ゲーム上でも再現されている。) エクアドル軍がペルー軍機を撃ち落としたと発表したら、 ペルーがその飛行機は悪天候のため墜落したと言うなど大本営発表の応酬があったらしい。 戦争の勝ち負けもはっきりしない。ペルーはエクアドルの拠点を占領したと発表したが、 その直後に南米諸国とアメリカが仲裁に入ったようだ。

エクアドル軍に協力した先住民シュアールは、もと首狩り族で、人間の干し首を作る伝統があったが、 欧米人が干し首を珍しがって買うようになったせいで、銃を手に入れて盛んに周辺部族に戦争を仕掛けて 首を狩った時期があったらしい。

世界情勢について、どれだけ調べても調べ尽くせない。本当に世界は広いと思った。 考えてみれば、 1995年1月17日に阪神大震災があったので、南米の小規模な国境紛争など報道されなかったのだろう。


2010.8.15
最近、「独眼竜政宗」のDVDを見ている(聴いている)。 僕は、歴代NHK大河ドラマの主題曲の中で「独眼竜政宗」の主題曲が一番好きなこともあって、 「風と雲と虹と」の次は、「独眼竜政宗」と決めていた。「独眼竜政宗」は、 最近の戦国NHK大河ドラマにない、 殺伐とした物語になっている(幕末を扱った大河ドラマは、最近でも殺伐としているが)。 主人公が、城の中にいる人全て非戦闘員を含めて皆殺しにすることを命令し、実行される 大河ドラマは最近は見られない。最近では、この種のことを織田信長が命令して、主人公が 思い悩む場面を見せることが多い気がする。殉死の習慣も最近の大河ドラマでは見られない。 現代の目で見ると、男性の登場人物が皆、頑固で怒りっぽく見える。 1話に1回は、誰かが「くどい」とか「黙れ」と一喝する場面があるような感じがする。

最初の数話は、特に虎哉宗乙の活躍が面白かった。寺に乱入した伊達家の侍を言葉の力で撃退したり、 幼い政宗(梵天丸)に親元を離れないといけない理由を聞かれ、「人の上に立つものは・・・」と ちゃんと説明する場面があり、非常に賢い人だと思った。政治勢力としての仏教(本願寺以外)に も興味を持った。


2010.7.4
大河ドラマ「風と雲と虹と」を見終わった。最後の数話あたりは、 将門と純友の反乱がどうやっても挫折する運命にあることが感じられる 内容になっていた。将門軍は、興世王のせいで、朝廷のような形式ばった 組織になっていく様子が見られた。純友の方は、もう少しまし かと思ったが、そうではない。純友は朝廷を倒した後、 どのような政権を立てるか考えていなかった。純友が国司の紀淑人と密会して、 反乱に加わるよう説得するシーンがあるが、その中で、純友が朝廷を 倒した後のことは分からないので、紀淑人に任せるという旨のことを 言っている。これでは、もし、純友が朝廷を倒しても、その後には 朝廷とよく似た政権ができただろう。北朝鮮やソ連のような革命を標榜 する国家もこんな感じだったのではないかと思った。つまり、 政権を倒しても、国を統治するために前の政権の関係者を使わざるを得 なくなって、実質的に元の状態に戻ってしまう。

現代にも通じる革命運動の様子が描かれていて面白かった。10世紀当時の 様子は正確に描いていないのかも知れないが。

Wikipediaで関連する情報を調べてみたが、田原藤太や平貞盛の子孫が 有力な武士団になるのは当然だが、ドラマでは散々な扱いだった藤原 為憲の子孫からも有名な武将が出ているのは意外だった。安倍晴明は 平将門の息子という珍説もあった。


2010.4.25

宮城谷昌光『三国志』1巻、2巻

2巻の終わりで 黄巾の乱がやっと始まる。 『文芸春秋』に今でも連載されているが、  『文芸春秋』の読者は、「三国志」という題名の後漢の歴史小説を 2年間読み続けたことになる。 文芸春秋の読者はよく怒らなかった ものだ。(それを言い出すと、三国が成立する前 、特に赤壁の戦いで終わる三国志は何なのかという事になりかねないが。) でも僕は、三国志はよく知っているので、黄巾の乱が始まるまでの 後漢の歴史を知るために読んだ。

後漢の歴史を最も特徴づけるのは、 外戚だと思う。三国志でいう何進のような立場の人が、何回も繰り返し 出てくる。後漢の皇帝は若くして即位し早死にするので、皇太后と外戚 を実質的な政治指導者として後漢の歴史を書いたほうがわかりやすい気がする。 太后府という名の、皇帝の代わりに政務を執る役所もあった。 邪馬台国は女王卑弥呼とその弟が統治する国だったが、 後漢の皇太后と外戚を参考にしたように思える。きっと、 倭人が漢人に「皇帝とは何ですか。」と聞いて 漢人が「神(天)だ。」とか「神の子(天子)だ。」と答えたのだろう。 それを聞いた倭人が、漢の皇太后=神に仕える女性、と勘違いしたのだろう。

梁冀が殺されたとき、没収した梁冀の財産は国家歳入の半分に相当し、 梁冀派の人々が処刑・追放されたため、後漢の朝廷は一時空になったらしい。 ここを読んだとき、僕は、後漢滅亡の原因は梁冀の悪政ではなく、 反梁冀の政変のせいだと思った。国家歳入の半分もの財産を没収すれば、 自分の財産も没収されるのではないかと人々が考え、経済が混乱する。 朝廷が空になれば政治が麻痺して、治水工事、国境の防衛などもおろそかに なる。20世紀の大粛清や文化大革命のようなものだ。

そもそも『後漢書』の人物評自体が疑わしい。歴史書を書く人の構成が 偏っているので、外戚や宦官を悪く書いているのではないか。ある時、梁冀が政敵を 山賊がいる地方の長官として赴任させて、わざと失敗させようとした。 その地方長官が、山賊の罪を問わないと宣言すると山賊が降伏したと いう記述があるが、どう考えてもおかしい。全くの作り話か、以前から 山賊と馴れ合っていたので、山賊が降伏してきたとしか思えない。 地方長官が変わるとまた、山賊が暴れだすようになるのも怪しい。


20010.4.11
「湯武両聖王」について興味をもったので、宮城谷昌光『王家の風月』『天空の船』を読んだ。 『王家の風月』は面白かったが、『天空の船』の方は微妙だった。筆者の創作の部分が多すぎる。 若き日の伊尹と・嬉が出会って・・・というのは、現実的ではなく、かえって面白くなかった。 そういったことよりも、夏王朝の社会の制度とか、宮殿や一般庶民の家(竪穴式住居)がどんな様子なのかを 詳しく書いて欲しかったが、時代が古すぎて資料が無いのだろう。一方、『王家の風月』の方は面白 かった。筆者は、殷王朝は征服した民族の神を奪って自分の神と一緒に祭るので、ローマ帝国と似ている としているが、僕は、捕虜を生贄にするために、異民族と戦争をする記述を読んで、 アステカ帝国と似ていると思った。こういったものは、古代帝国に普遍的に見られるものなのだろうか。

封神演義では、宝貝は武器だが、この小説では、宝貝は、全く違う意味で出てくる。 この小説での宝貝は、僕のホームページでも繰り返し繰り返し取り上げられている、あれ、のことだ。 こっちの意味での宝貝が飛び交う封神演義も想像すると面白い、桁の多い数の計算が速くなる宝貝とか。


20010.3.28

2月28日の記事の続き

先輩から借りた『歴史群像』に大塩平八郎の乱の記事があった。 反乱指導者の称号にはならないが、大塩平八郎が掲げた幟の文字が面白かった。 「天照大神宮」「八幡大菩薩」「南無妙法蓮華経」「湯武両聖王」「東照大権現」これでは、 神道なのか仏教なのか儒教なのか分からない、さらに、徳川幕府を倒すのか徳川幕府を倒さずに 奉行を倒すのかも分からない支離滅裂な感じがした。

それにしても、「湯武両聖王」は良い標語だと思った。藤原純友など東アジアの反乱指導者は、 とりあえずこれを掲げておけば間違いないのではないか。 「暴虐な支配者を倒して、自分が新しい王朝をつくる。」という過激な意志が伝わってくる。 殷の湯王は紀元前1600年頃、周の武王は紀元前1000年頃の人 なので、まず時代考証的におかしいこともない。

参考1
参考2


20010.3.14

ドイツ軍的自転車

先輩から借りた『歴史群像』の軍用自転車に関する記事に次のような文章があった。

それゆえ、第二次大戦においてドイツが使用したトルッペンファーラット型 (TR−FA型)も、フレームに装備を取りつけるポイントがいくつか 設けられている点と、チェーンガードが無い点を除けば、民間の 自転車とほとんど同じだった。チェーンガードは、服の裾がギアや チェーンに絡まないようにするための部品だが、軍ではブーツか ゲートル、脚絆を着けた状態で乗車するのが基本なので、あえて取りつけずに 整備を容易にしたのである。

僕の自転車も大学時代から、チェーンガードが無い。(2001年4月12日 の記事参照)当時、風で自転車が倒れることが多く、チェーンガードが曲がって しまい、チェーンガードとタイヤがこすれるようになった。そのため、チェーンガードを外した。 ズボンの裾がチェーンやギアに絡まないように、必ず、 マジックテープ付きの紐で裾を縛った状態で乗車する。 自転車のチェーンが外れても、その場で元に戻すことができる。(手は汚れるが) 別にドイツ軍のまねをしているわけではなく、全くの偶然の一致だ。


20010.2.28
大河ドラマ『風と雲と虹と』のDVDは7巻まで見(聴き)終わった。 ここ数話ぐらいの流れでは僕は、内心、太郎貞盛を応援していた。 一族が、「坂東の作法」を持ち出して、将門と戦うよう求めても、 貞盛は将門と和解しようとした。貞盛がこのような行動をとった理由は、 将門のことを友であり、従兄弟であると思っているから、という事だけでなく、 早く京に帰って出世したいからという事がある。それが、僕にとっては、かえって現実主義的に見えて、 好ましかった。 結局、貞盛の和解の試みはうまくいかなかった。 今後、将門はどう行動するか想像がつくが、貞盛はどう行動するのだろうか。

藤原純友が海賊大将軍を名乗るシーンがあるが、余りにも安っぽい称号なので 笑えた。仮面ライダーの悪役に出てきそうだ。現実世界の反乱指導者は、
悪い印象のする単語+高い地位を示す称号
を自称したりしない。では、このシーンにふさわしい称号は何なのか 考えてみた。伊予国労働党書記長、西日本解放戦線議長などは、この大河ドラマのテーマには合って いるが、時代に合わない。中国の反乱では「呉王」「楚王」のような地名を あらわす漢字に王を付けることが多いが、日本人が「呉王」を名乗るのは おかしい。皇帝を名乗るのも一般的だが、面白くない。 黄巾の乱の「天公将軍」「地公将軍」「人公将軍」が いいのではないか。中立的で、悪人という感じがしない。


2010.2.14
1.31の記事の補足
後でポスターを見ると「華麗なるオーストリア大宮殿展」と書いてあった。訂正しようかと思ったが、 正式名称は「ハプスブルク帝国の栄光華麗なるオーストリア大宮殿展」なので略して「ハプスブルク展」 でも間違っていない。

2010.1.31
岡山にハプスブルク展を見に行った。 やはり人が多かった。入るまでに10分ほど待つことになった。 来場者は、女性8割、男性2割だった。 ガラスケースに隙間なく人が張り付いているので、僕は遠巻きに見て、 早々と回っていった。食器を見ても、椅子を見ても、「ああ食器があるな」とか 「ああ椅子があるな」としか思えなかった。

それでも、マネキンに当時の盛装を着せたものは凄かった。女性は、頭一個分 ぐらい髪を結い上げたり、男性は、立体的な刺繍があり、スネがむき出しの服 を着ていた。現代にこんな格好で街を歩く人がいたら、きっと度肝を抜かれる だろう。


2009.10.25
職場の先輩から借りた本に「ハイレッディン・バルバロッサ」 という名前の戦艦が出ていた。「ハイレッディン・バルバロッサ」は 第一次世界大戦中のオスマントルコの戦艦だ。 ちょうど同じ頃、 塩野七生『ローマ亡きあとの地中海世界』(下)を読んで、 その中では、戦艦の名前の由来となった ハイレッディンが海賊として、地中海を荒らしまわっていた。 最終的には、ハイレッディンはオスマントルコの海軍総司令官になり、 トルコ海軍の父と呼ばれるようになる。しかし、大航海時代の海賊を 戦艦の名前にするのはどうなのだろうか。反感を抱く国などはないのだろうか。

2009.9.27

読書の秋と本の値段(1)

シルバーウィークは読書三昧だった。 岩井三四二『簒奪者』、『兵は詭道なり 斎藤道三(2)』、『兵は詭道なり 斎藤道三(3)』 をアマゾンで買って読んだ。斉藤道三の生涯を扱った歴史小説だ。大体、『簒奪者』の続きが『兵は詭道なり 斎藤道三(2)』、 『兵は詭道なり 斎藤道三(3)』になっている。『兵は詭道なり 斎藤道三(1)』もあるのだが、 内容が『簒奪者』と重なっているためか、極端に流通量が少なく、1800円 で売られている。『兵は詭道なり 斎藤道三(1)』が出たころは岩井三四二は有名ではなかったが、 今では津山市立図書館に何冊も著書が並ぶほど有名になっているという事情もある。

以前、アマゾンで買い物をしたとき、コンビニで受け取りできたが、中古の本は、コンビニで受け取りが できない様子だった。かといって、どうしてもクレジットカードは使いたく ないので、アマゾンのホームページを熟読して、アマゾンギフト券という抜け道を見つけた。 コンビニの機械で、アマゾンギフト券を買い、インターネットで券の番号 を送信すると、清算ができた。

『簒奪者』、『兵は詭道なり 斎藤道三(2)』は他の歴史小説にはないぐらいの緻密さが感じられて 面白かった。パソコンゲームの世界では問題にならないぐらいの小さい土地の争奪 で、関係者の利害が交錯する様子が書かれていた。

『兵は詭道なり 斎藤道三(3)』は、美濃1国規模の合戦と親子の対立が 書かれていて、普通の歴史小説だった。主人公の長井道利のことは、 今まで存在すら知らなかった。Wikipediaで調べると、 本人もその息子も、戦国武将としては地味で報われない生涯 だったらしい。

最近、岩井三四二が江戸時代の米の先物取引を扱った歴史小説を書いたようだ。 是非読みたい。


2009.9.13
8月21日、岡山県立美術館に建仁寺展を見に行った。寺に関することはあまり印象に残っていないが、 備中足守藩関係の展示はすごかった。徳川家康が小早川秀秋に宛てた書状や、天皇が豊臣秀吉を関白に任命する 宣旨、数年前に発見された毛利元就の鎧の袖などが次々に目の前に現れた。なぜか僕は、誇大妄想の人を 見ているような気分になった。後でよく考えてみると、あの展示は、3つの意味で誇大妄想的だった。 1つは、目の前に歴史的な大事件に関する文書や物が置いてあること。2つ目は、1万5千石の備中足守藩が 豊臣秀吉の義兄の末裔だと主張すること。3つ目は農民の家に生まれた秀吉が関白になったことだ。

1585年の位記に征夷大将軍 義昭と書いてあった。この時期になっても、 朝廷は足利義昭を征夷大将軍と認識していたようだ。Wikipediaで調べてみると、足利義昭は1588年に 征夷大将軍を辞めたようだ。


2009.6.14
6月7日に職場の先輩と呉に行った。 日帰り旅行全体の事を書くと散漫になるので、一つの事件だけ紹介する。 旅行の最後の行程、自衛隊の護衛艦「まつゆき」(「まつゆき」だったという記憶にも 自信がなく、インターネットで裏付けをしてから書いている。) に乗船して見学した時のこと。 案内役の自衛官が、十数人の見学者の前で、後部甲板に装備された対空ミサイルについて解説しているとき 、ある人が射程について質問した。 自衛官は、 「50マイルなので80km。」と答えた。とっさに先輩が、 「元になったスパローの射程が8kmなので、80kmはない。」と指摘した。 自衛官は「ご指摘、ありがとうございます。」と言っていた。 後で、インターネットで調べると、シースパローの射程は26kmと書いてあった。 先輩は、軍事に関して、自衛官よりも詳しいことがよく分かった。

レイセオン株を買い増した。


参考(写真は頂き物)


2009.5.17

『インドの歴史』(ケンブリッジ版世界各国史)

インドの会社の株を持っているので、インドの歴史をもっと勉強しようと思って、図書館で借りた。 ガンジー・ネルー王朝という言葉の意味がわかった。インド独立後、ネルーの一族は3世代にわたって 首相の地位を世襲していた。今でも、インドの与党の総裁がネルーの孫の妻だ。 日本でも、よく世襲議員が首相になるが、ここまであからさまではない。

タタ財閥も1箇所だけ出てくる。海外投資では、歴史の長い企業の方が信用できるような気がする。

独立後のインドの歴史を見ても、 現在のインドの高度成長の前触れになるような記述は何も無かった。 宗教、民族対立ばかりで、ひょっとしたら ユーゴスラビアのように崩壊するような感じだったのが、突然、高度経済成長が始まったような 印象をうけた。

別の本で、今はアラブの石油王が金持ちで有名だが、昔は金持ちと言えばインドの藩王だったと書いてあった。インドの藩王の中で一人ぐらい株式投資に熱中して、オイルマネーのような権力を持った人はいないの だろうか。


2009.5.3
映画『スターリングラード』をゲオで借りて見た。ニコニコ動画で、迫力のある戦闘シーンが 公開(多分、著作権侵害)されていたからだ。大量のソ連兵が、 ドイツ軍の陣地に攻め寄せて、一方的にドイツ軍に撃たれて、逃げ帰ろうとしたソ連兵は味方に撃たれる。 僕としては、ニコニコ動画で公開されていた冒頭の戦闘シーンが映画の一番の見所だった。

しかし、よく考えてみると、現実的にあのようなシーンがあり得るだろうか。ソ連兵は白昼堂々と、全力 疾走でドイツ軍陣地に攻め寄せる。 パソコンゲーム「Steel Panthers」で考えると、絶対にあのような攻撃はしない。砲兵で支援するとか、匍匐前進するとか、遮蔽物 を利用して銃撃戦をするとかすると思う。そもそも、あのようなやり方だと、敵に弾が当たらないので、 敵方に死傷者が出ない。 砲兵がないとか、小銃の弾がないから人海戦術しかないとしても、別に昼間にやらなくても夜やればいいと思う。実際、ガダルカナルの日本軍や朝鮮戦争の中国軍は夜に攻撃をかけている。


2009.3.22
岩井三四二『悪党の戦旗』を読んだ。先輩から借りた雑誌『歴史群像』で 岩井三四二が紹介されていて、興味を持っていたところ、 図書館に、嘉吉の乱 を扱った『悪党の戦旗』があったので借りた。 国司兼守護大名、北畠氏や、南北朝合一後の南朝など、興味深い歴史 事実が物語の中に取り入れられているのが面白かった。読んだ後で、インターネットで 調べたくなった。 特に、南朝の残党は物語と深く関わっているのだが、 外部の人がなかなか入ってこないような吉野の山奥で、 南朝の残党が、10歳ぐらいの兄弟をそれぞれ、天皇と征夷大将軍 と称しているのは、限りなく誇大妄想に近いと思った。

2009.1.25
イスラエルのガザ侵攻の動画をYou Tubeで探していると、イスラエル軍の報道官が公開した動画が 何件かあった。内容は、報道官がその日の戦況を発表するものや、砲撃、空爆の映像や、国連施設から テロリストがロケット弾を発射する動画だった。当然のことだが、イスラエルの立場を正当化 する内容のものだ。 You Tubeの動画を最後まで見ると、関連する動画が自動的に紹介される機能がある。 誰が公開したのか分からないが、イスラエル軍の動画の題名に「re:」を付けた題名の動画があった。 それは、一般市民が血まみれになって病院に運ばれているような内容だった。インターネットの 世界でも情報戦が起こっているような感じがした。

2009.1.12
『絶対君主の時代』と『ルネサンス』を図書館で借りて読んだ。どちらも、 かなり古い「世界の歴史シリーズ」の中の本だ。これで、西洋史は 一通り読んだと思う。

『絶対君主の時代』は筆者が露骨に歴史上の人物をひいきしている 感じがした。ひいきの基準は、歴史の発展段階の進んだ方に味方するというもので、 封建領主と絶対君主では絶対君主の味方をし、絶対君主と市民革命派 では、市民革命派の味方をするようになっている。 これと関連しているのかどうかわからないが、次のような文章が出てくる。

こうした状態を打開しようとして、ホイッグ党のリーダーたちは、 国王と王弟の暗殺を計画した。だが、この陰謀は発覚し、 指導者はロンドン塔に送られ、はっきりした証拠もないのに処刑されてしまう。

なぜ、はっきりした証拠もないのに、 暗殺を計画したことが、筆者に分かるのだろうか。

『ルネサンス』は ルネサンスの政治指導者を戦国武将にたとえる(アレクサンデル6世が織田信長に相当するというように)など、大雑把な表現が目立った。 筆者の講義を誰かが速記して本に仕上げたのではないかと思った。

イグナチウス・ロヨラに関する記述が面白かった。ロヨラは、元々スペインの軍人だったが、 戦争で傷を負い、入院した。入院生活は 暇だったので騎士物語を読もうとしたが、病院に置いていなかったので、 たまたま置いてあった キリスト教関係の本を読んで、感激して聖職者になったという経歴の持ち主だ。 この人が、6人の同志とともに、イエズス会を結成して、世界中にカトリックの宣教師を派遣するようになる。有名なフランシスコ・ザビエルはこの6人の同志の中の一人だ。


2008.11.9
ニコニコ動画で、テルシオが出てくる動画を見つけた。テルシオは、16〜17世紀に主にスペイン軍が用いた陣形で、 槍兵で四角形の陣形を組み、その周りを鉄砲隊で囲み、さらにその四隅に鉄砲隊の小さい四角形を配置した ものを指す(参考)。以前から、テルシオが出てくる映画を見たいと思っていた。鉄砲が出てくる前の時代の 戦争を扱った映画と、銃剣を持った歩兵が活躍する戦争を扱った映画は見たことがあるが、 その中間の鉄砲と槍が混在する時代の映画は見たことがなかった(日本の戦国時代を除く)。

今回見つけた動画は、メディイーバル2・トータルウォーの ゲーム画面を編集して、ニューポールトの戦いを再現したものだが、ほとんど映画のようだった。鉄砲隊の前列が撃った後に、前列が 後ろに下がって、次の列が射撃するなど、細部が再現されていて素晴らしい。


2008.10.26

リデル・ハート『戦略論』

古代ギリシアからベトナム戦争までの全時代にわたる戦争を研究した本。 職場の先輩から借りた。 筆者はイギリス人なので、三国志や戦国時代は出てこない。

結論としては、間接的アプローチが良いと書いている。 間接的アプローチの意味は分かりにくいが、第一に、正面攻撃を 避けて、側面や背後を狙う、第二に、奇襲とか新兵器とか、相手が予期しないことをすることだと理解した。当たり前と言えば、当たり前のことだ。 逆に、相手が予期できる方法で正面から攻撃するのが良い とする考えが主流だった時代があるほうが不思議だ。第一次世界大戦の中盤は正面攻撃の応酬だったが、 それは、第一次世界大戦が極めて特殊な戦争だったという話になるのではないか。

個々の戦争の時代背景の説明が少なく、地図も少ないので、予備知識がないと訳が分からなくなってしまう。見方を変えると、読者が特定の時代の知識がないことを分からせるような内容になっている。 僕は、清教徒革命やスペイン継承戦争の知識がないことが分かった。そのうち、図書館の『世界の歴史』シリーズのその辺りの時代を扱ったものを読もうと思う。


2008.9.28

富田俊基『国債の歴史』(続き)

貸し出し期限が14日間で、延長もできないため、じっくり読めなかった。 作者の意図とは違うかもしれないが、外国投資の必要性がよく分かった。 本書には第二次世界大戦中のドイツと日本の国債についての研究があり、 外国との資本取引を規制すれば、金利上昇と インフレを抑えつつ国債を大量発行することができると書かれていた。 現代日本では、外国との資本取引は自由だが、 戦中戦後の長い間、外国との資本取引が規制されてきたので、外国との 資本取引が少なく、国債を大量に発行しても金利上昇もインフレも起こらないようだ。

筆者は、財政支出を減らす方向に世論を誘導する意図を持っているが、僕は、外国投資を 増やした方が良いと思う。まず、日本の経済成長率はアメリカやBRICsやネクストイレブン よりも低いので、投資家は日本よりも、これらの国々に投資した 方が利益が出ると期待できる。 この本では、外国投資が増えれば、金利が上昇すると書いている(それ自体、本当かどうか疑わしいが)。 金利が上昇すれば、政府は金利負担を嫌って国債発行を抑制し、家計は消費を減らして、貯蓄に励むようになる。その結果、金利が低下する。金利が低いのに政府に国債発行の抑制を求めるよりも、投資家に もっと海外投資を増やすよう勧めるほうが、 市場原理に即していると思う。市場原理に即していると思う理由は、国債発行の抑制は、政治家にとって、選挙に落ちる可能性が 高くなるので、 自己利益の放棄になり、 投資家が海外投資を増やすのは、投資家の自己利益に適うからだ。


2008.9.14

富田俊基『国債の歴史』

県立図書館から取り寄せた。本屋で見つけ、読みたいと思っていたが、 6000円は高すぎるので、手が出せなかった。インターネットの古本 屋で4800円で売っていたが、送料を考えるとやはり高い。

おおよそ、T、U、V、W章が、パソコンゲームの「ヨーロッパユニバーサリス」、「ヴィクトリア」、「ヴィクトリア レボリューションズ」、 「ハーツオブアイアン」に対応している。Paradox社の時代区分のセンスが良いのだろう。

まだ1章しか読んでいないが、1章は国債の起源から、ナポレオン戦争までが書かれている。イギリス、 フランス(ナポレオンを除く)の戦時財政がかなり国債に依存していたことが分かった。イギリスは、 戦時に国債を増やして、平時に償還することを繰り返していた。フランスは、戦時に国債を 増やして、戦争が終わると踏み倒していた。一方、ゲームのヨーロッパユニバーサリスは、無借金 経営ができるし、借金をあえて使う利点が感じられないので、その意味ではリアルでない。

それにしても凄いのが、次の記述だ。

フランス革命政府は、フランスに居住する外国人の すべての財産を没収した。これに対して、1794年2月にイギリスは、フランス革命政府 の支配下にある個人が所有する在英財産を保護するために、それらをイギリスに凍結することにした。 具体的には、外国人の在英資産で3%コンソルを購入し、イングランド銀行がその口座を管理することになった。

そして、ナポレオン戦争中にはインフレが起こるが、戦後、旧平価で金本位制を復活させて物価を 元に戻す。私有財産の保護が徹底していて素晴らしい。第二次世界大戦中の日本に同じことができただろうか。たとえ、連合国の支配下にある個人が所有する在日財産で日本国債を買ったとしても、 戦争の結果、お金の価値が100分の1ぐらいになるので意味が無い。

(次回に続く)


2008.8.31
先週の水曜日、夏休みをとって、姫路の太陽公園に行った。 太陽公園は、万里の長城や、ピラミッドや、モアイ像などの世界遺産 の複製が脈絡無く展示されている公園だ。職場で回覧された普通の 観光雑誌に太陽公園が載っているのを見つけ、是非、行ってみたいと 思っていた。

笑いを求めて行ったのに、途中から感覚が慣れてきた。この場所に このようなものがあるのが当たり前のような感じがしてきた。 兵馬俑の複製を見たときは、当時の軍服や隊列をじっくり観察した。 一般兵士の背が低く 、指揮官の背が高いことが分かった。(一般兵士は平均的に僕より背が低い。)子供の頃から 違うものを食べて育ったのだろうか。隊列は右端と左端の列の 兵士だけ横を向いていた。側面からの攻撃に備えているのは分かるが、 前進するときにはどうするのだろうか、カニ歩きをするのだろうか。 笑いを求めてやって来たのに、違う楽しみ方をしていることに気付いた。

太陽公園の紹介


2008.8.17
リデル・ハート『第一次世界大戦』ほぼ読み終えた。大戦中盤は、 敵の守りの堅い部分を正面から攻撃して、大損害を出しておいて、「敵の損害は自軍の損害よりも多い。 敵はもうすぐ戦い続けられなくなる。」と自画自賛する傾向が両軍にあった。要塞攻撃で、 攻める側の損害が、守る側よりも少ないことはまず無い。やはり、この戦争は、人命が軽すぎる。

大戦後期になると、浸透戦術、戦車の集中運用が考案され、塹壕陣地の突破ができるようになる。 読み進めるとともに、両軍の戦術が改善されるのは爽快な感じがした。そのようにして、1918年 初めのドイツ軍の大攻勢が始まる。ロシアが戦争から脱落して、兵力に余裕ができたが、一方で、 アメリカが参戦し、将来的には行き詰るので、今のうちに攻勢をかけなければならないという 緊張感があり、本書の中で最も盛り上がった部分だった。結局、ドイツ軍の大攻勢は失敗するのだが、 失敗の原因を「ドイツ軍は塹壕陣地を突破できても、戦車が無いため、突破口を広げることができなかった。」と筆者はまとめている。さらに、ルーデンドルフが終戦間際になって、戦車の重要性に気付く場面が ある。この本は第二次世界大戦前に書かれたが、第二次世界大戦の展開を連想してしまう。

力関係がイギリス+フランス=ドイツ>ロシア>オーストリア>イタリアと決まりきっているのが 面白い、それが全く戦略に生かされていない(ドイツも英仏もやたらと西部戦線で突破しようとする) のも面白い。


2008.8.17
ここ一週間ぐらい、オリンピック関係の映像を見るよりも、グルジア関係の映像を見る時間の方が長かった。テレビでは、それほど流されていないが、BBCやYou Tubeで見ることができる。 ニコニコ動画で、NHKスペシャル「映像の世紀」の音楽とロシア・グルジア戦争の動画を 組み合わせたものが公開されていた。途中で動画が終わり、黒い画面になり、一般視聴者の コメントがひたすら流れる演出が素晴らしかった(それを作者が意図していたかどうか不明)。 さらに、「映像の世紀」の音楽に興味を持ち、ジャムでCDを借りた。

2008.8.3

自衛隊見学と株主としての情報収集

瀬戸大橋20周年のイベントで、自衛隊の護衛艦「いなづま」に乗船するイベントに、父母と行った。 船から降りるときに異様に時間がかかった。「この船はフェリーではないので、降りるのに時間がかかります。」との艦内放送があったが、これほどとは思わなかった。一列でしか降りられない階段が一つ設置 され、そこに数百人の人が群がり大変なことになった。 熱中症になるかと思った。

艦上では、高性能20mm機関砲が動くところを見た。「一分間に4500発、撃てる」との 解説を聞いた少年が驚いていた。高性能20mm機関砲の砲身はアメリカのGE社が、 射撃管制装置はアメリカのレイセオン社が製造している。僕はレイセオンの株を持っているので、 どこかにレイセオンの社名が載っていないかと思い、艦内を探し回ったが、なかった。パンフレット にも載っていなかった。

兵器は時とともに旧式化するので、高性能などと名前をつけるのは、いかがなものかと思う。 実際に高性能20mm機関砲は旧式化し、最近はミサイルでミサイルを打ち落とす(その種の兵器も レイセオンが作っている)ようだ。


2008.7.20
職場の先輩から、第一次世界大戦に関する本を借りた。まだ途中まで しか読んでいないが、途中までの感想を書いてみる。第一次世界大戦では どの国も高級軍人の能力が低いような印象を受けた。第二次世界大戦では、 主要参戦国には名将といえる軍人がいたが、第一次世界大戦にはいない。 普通に考えたら、時代によって全ての国の高級軍人の能力が平均的に高かったり低かったりすることは考えられない。むしろ、結果的に西部戦線が膠着 状態になってしまったので、そこから逆算して高級軍人の評価が下がって しまったのではないか。西部戦線が膠着状態になってしまったのは、 高級軍人の能力が低かったためだけではなく、機関銃、鉄道、電信など 当時の技術水準が塹壕戦に適していたためだと思う。

第一次世界大戦中の高級軍人について何人かの人名をwikipediaで調べてみると、 戦後に数奇な運命をたどっていることが分かり面白い。


2008.6.8
レンタルビデオ屋でウィンストン・チャーチルが主人公のアクション映画 の宣伝映像が流れていた。ボーア戦争が舞台ではなく、第二次世界大戦が 舞台になっている。第二次世界大戦開戦時、チャーチルは64歳のはずだが、 映画では若く見えた。「チャーチルは実はアメリカ人だった」という大胆な 解釈だそうだが、それ以前に問題がありすぎると思う。こんな設定が許されるなら、 某国の中央銀行総裁が自動小銃を持って、一人でどこかに乗り込んで金融危機を解決する アクション映画が出るかもしれない。

2008.6.8
5月25日に自衛隊美保基地の航空祭に行った。天気が悪く、 予定が大幅に変更されたため、物足りなかった。しかし、朝から美保基地に行くまでの 過程が凄かった。午前5時の始発電車に乗ろうと津山駅に行くと 誰もいなかった。窓口は5時30分から開くと書いてあった。乗車券や特急券 を買っていなかったので、どうしようかと思ったが、とりあえず、鳥取駅までの切符を 買って、電車に乗った。電車には、僕以外、誰も乗っていなかった。次に航空祭に行こうと思ったとき、 この路線は残っているのだろうか。

2008.4.13
今年で戦後90年、第一次世界大戦の。

〔戦略・戦術。兵器詳解〕図説 第一次世界大戦

パソコンゲームの影響で第一次世界大戦にも興味をもち、 歴史群像シリーズの第一次世界大戦版があったら読みたいと 以前から思っていた。どうしても出なければ、英語版でもいいので、 個人輸入で外国から取り寄せようと思っていた。 別に僕が出版社に要望したわけではないが、2月に書店で見つけた。 値段は高いが、マニアックすぎて、古本屋に出回ることはまず無いと思うので 新品で買った。

今までも、第一次世界大戦という題名の本はあったが、ロシア革命の記述が半分ぐらいを占めていた。 第一次世界大戦について、会戦ごとの経過や、戦術、兵器について詳しく書いた本で、イラストや写真 が多い本はこれが最初ではないだろうか。

第一次世界大戦時のフランスの総人口は3900万人、動員兵力は860万人、死傷者は570万人 との記述がある。 (ちなみに太平洋戦争時の日本の総人口が7000万人、動員兵力が700万人) 成年男子の何%を動員したことになるのだろうか。しかも、その戦い方が異常だ。 ソンム会戦の記述では、規則正しく横隊を組んで防御陣地に向かって正面からノロノロと接近し、 大砲と機関銃になぎ倒されたとある。こんな方法でイギリス軍は1日に5万7千人の死傷者を出した。 余りの人命の軽さに衝撃を受けた。

第一次世界大戦の写真とイラストは見ごたえがある。戦車、飛行機、兵士の制服は第二次世界大戦とは一味違う趣がある。


2008.1.20

ヘロドトス『歴史』

西洋最古の歴史書といわれ、ペルシア帝国対ギリシャの戦争を扱っている。某ホームページで、ペルシア軍500万という記述があると知り、前から読みたいと思っていた。ちゃんと、

かくしてダレイオスの御曹子クセルクセスの統率の下にセピアス岬とテルモピュライに達した総勢は、 528万3220名に上ったことになる。

と書いてあった。
バルバロッサ作戦(第二次世界大戦時のドイツ軍によるソ連侵攻)の動員兵力が500万だったと思う。

ギリシャに関することはかなり現実的なことを書いているが、遠くの地方にいくにしたがって記述がいい加減になる。インドに関する記述は特に変で、
インドの東の端は砂漠で、その先には人が住んでいない。
インドには犬と同じぐらいの大きさの蟻がいる。その蟻は金塊を運ぶ習性があり、 インド人はその蟻をだまして金塊を取るため、インドには金が無尽蔵にある。
などと書いてある。
その後に、インド人は木の実から毛をとり服を作るという表現(綿花のこと)があったが、嘘に思えてしょうがない。


2007.11.25

法の死滅

wikipediaを漫然と見ていたら、次のような文章を見つけた。

法の死滅(ほうのしめつ)とは、マルクス主義法学の法律観の一つで、国家及び法律は、階級とともに発生したものであり、社会が共産主義の段階まで進んで商品の取引交換や階級対立が消滅すれば、国家も法律も不要となり死滅していくという考え方。
ソビエト連邦のパシュカーニスらによって積極的に唱えられ、現在のソビエト法も「過渡期のブルジョワ法」であると位置付けられた。だが、スターリンが「一国社会主義」を進めていく過程においてパシュカーニスは「ソビエト連邦の転覆を企てる無政府主義者」として粛清の対象とされた。スターリン批判後も「国家の死滅が法の死滅には繋がらず、共産主義社会においても一定の法規範が必要とされる」とする批判も出されるようになった。

実に趣のある文章だ。非現実性といい、「共産主義」「ソビエト連邦」「スターリン」等の単語の配置といい素晴らしい。その辺りの歴史的背景が分からない人には、何のことやらさっぱり分からないだろう。 一見、複雑なことを言っているようだが、ゲゲゲの鬼太郎の主題歌の歌詞の「お化けにゃ学校も 試験も何にもない」程度の事しか言っていないような気がする。最近マスコミの論調が左に傾いてきているような気がする。僕のような資本主義に心酔している人間には、客観的な判断ができないのも事実だ。


2007.9.30
江川達也『日露戦争物語』最終巻(22巻)をゲオで借りて読んだ。『日露戦争物語』は、このホームページで何回か取り上げていたが、最終巻が酷かったのは残念だ。まず、「21世紀の世界が目指すべき、平和で安定した未来の文化、江戸文化」という表現が唐突にでてくる。最終話の、某見開きは凄いことになっている。 「アメリカも日本人を支配し続けるため、巧妙に日本の歴史を改ざんし、日本の政党を影でコントロールし 、日本人の知識を低下させるプログラムを実行し続ける。」「とういつきょうかい KCIAの手先」 などという表現が続く。そして、長方形の物体に何かが当たって、爆風が発生した絵が書かれたコマが 出てくる。 物凄く雑な絵で、何が当たったのかも判別できない。 活字で「アメリカ、ニューヨークのビルがアラブ人に攻撃されたか、アメリカがわざと自分で壊してイラク攻撃の口実にしたかは定かではないが、いつまでも戦争はなくならない。」とあり、手書きの字で 「ドーン」「特攻」「攘夷でござる」と書いてある。 文字を読んでやっとアメリカ同時多発テロ事件の絵だということ が分かるが、それにしても長方形の物体はツインタワーにすらなっていない。戦時中と幕末の一部の日本人の狂信ぶりを風刺する意図でアメリカ同時多発テロ事件を引き合いに出すのなら少しは理解できるが、 作者自身が狂信の世界に浸かっているようだ。

編集部注:時代背景を説明するため、作品中に不穏当とみられる表現の箇所がみられる場合がありますが、当時の世相、史実にもとづいたもので作者に差別助長その他の意図はありません。
とあるが、

欲望と殺人と征服の野蛮な西洋列強の文明
卑怯で野蛮な西洋社会

この表現は差別を助長する意図があるのではないか。


2007.8.5

中央公論社版世界の歴史『ムガル帝国から英領インドへ』

日本では、あまりインド史は知られていない。日本で出版される歴史小説も、日本史、中国史、ヨーロッパ史が中心で、インドを扱ったものは余りないと思う。日本、中国、ヨーロッパの歴史だけ知っている人は近代にヨーロッパが発展したのは国が分かれていたからだという考え方になりやすい。国が一つだと、貿易や技術開発を規制することができ、また、戦争がないため、軍事力の発展が止まると考えられる。 したがって、国が分かれていたヨーロッパでは、貿易や技術開発の規制が少なく、また、戦争が多いため、軍事力も発展したとされている。前読んだ『銃・病原菌・鉄』でもこの考え方がとられていた。 しかし、インドは違うようだ。18世紀初め、ムガル帝国が崩壊して、地方政権に分裂する。そして、18世紀中ごろにイギリスに征服される。国が分かれているのに、イギリスに征服されるとしたら、上の仮説は成り立たない。そして、なぜ、ヨーロッパが発展したかについて、全く別の説明が必要になる。

東インド会社株はイギリスの株式市場に上場されていて、東インド会社がインドの地方政権と戦争をして勝ったニュースが流れると、株価が上がったそうだ。軍事マニア兼資産運用マニアの僕としては憧れる状況だ。架空の世界でもいいので、植民会社を扱った小説や東インド会社経営パソコンゲーム(株式市場も再現)があったら面白そうだ。


2007.6.10

陳舜臣『太平天国』

太平天国指導者たちの誇大妄想的な言動が笑えた。 洪秀全のせりふで、

「夢はそこで覚めました。私は枕もとにいた両親や兄にむかって、天父上帝は朕を天子に命じられ、 天下万国の人民を統治せよと申されたことを語ったのです。」

というのがある。他にも、 天父下凡とか天兄下凡といって、神やイエスキリストの霊が乗り移った芸をして、信者を激励したりする。 神は全知全能だから中国語が分かるかもしれないが、イエスキリストが中国語(しかも北京語では なく方言)で話すのは、どう考えてもおかしい。 太平天国軍は南京を攻略するまでは規律正しく、指導者も団結していた。しかし、南京攻略後、 急速に堕落して、味方同士で殺し合うようになった。日本では豊臣秀吉の例があるが、 農民から一代で皇帝になるような極端な立身出世には、落とし穴がある。権力を持つことで堕落してしまう。 権力を持つことに伴う堕落 を防ぐものは何だろうか、この小説の中では学問とされているが、本当だろうか。話は変わるが、 歴史関係のパソコンゲームで、地位が上がると能力が下がる設定があったらリアルになるのではないかと思った。

同時代のアメリカ皇帝(自称)ノートン1世が死んだときに

彼は誰も殺さず、誰からも奪わず、誰をも追放しなかった。彼と同じ称号をもつ者で、この点において彼以上の者はいなかった

と新聞記事に書かれたのを思い出した。同じ誇大妄想でも余りにも運命が違いすぎる。


2007.4.1

オーギュスタン・ティエリ『メロヴィング朝史話』

『ローマ人の物語』を全巻読んでさらに続きが気になる人、『ローマ人の物語』の16巻が出るのを待っている人におすすめの本である。19世紀にフランスで書かれた本を第二次世界大戦時にベトナムに行った 日本人が持ち帰って翻訳したらしい。そのため文明開化という言葉が少し変な用法で使われていたり、 夷狄民族という表現が出てきたりする。

西ローマ帝国滅亡後のガリアでは、都市にローマ人居住区が設定され、その中での行政や裁判は ローマ人が行ったらしい。教会関係者は独自に宗教裁判があった。また、教会の敷地内に入った人は たとえ犯罪者であっても処罰することができなかった。だからといって、教会の権力が強いわけで はなく、破門された人がのうのうと生きていたり、キリスト教に帰依した国王が一夫多妻制だったりする。 結局、誰が一番権力が強かったのか分からない状態になっている。その中で、最も権力の強いはずの ネウストラシア王キルペリクは非常に情けない人物として表現されている。妻の尻に敷かれ、戦争をすれば負ける。きわめつけなのが、気まぐれから学問を始めたキルペリクがカトリックの三位一体説を否定する学説を思いつき、司教に異端だと言われて、けんか別れしたあと、他の司教に聞いてみたが、やはり異端だと言われて、小さくなってしまうエピソードである。 よくこんなマニアックな本が図書館にあったものだと思う。


2007.3.4

斉藤孝『スペイン戦争』

TOAWの影響でスペイン内戦の本が読みたくなった。スペイン内戦は1936年から1939年に かけて、左派の人民戦線政府と、フランコ将軍を中心とした右派の反乱軍とが争った。 この本は、真の反戦文学だと思った。日本で反戦といえば、左翼を連想するが、スペイン内戦では左翼勢力は戦争の一方の当事者である。この左翼勢力がろくなことをしない。当時のスペインの左翼勢力には、 大きく分けて共産党とアナーキスト(無政府主義者)がいた。まず、共産党は粛清をする。味方の多数に無実の罪を着せて拷問をして殺した。一方、アナーキストは捕虜を直ちに銃殺する。あるアナーキストは外国のジャーナリストに捕虜を殺したことを自慢げに話し、話を聞いたジャーナリストが笑わないことを不思議がったそうだ。 それではフランコ将軍が正義かといえば、そんなことはない。ヒトラーとムッソリーニの支援を受けて 戦い、史上初の無差別爆撃を行った(このとき芸術家のピカソは無差別爆撃に抗議して「ゲルニカ」を描いた。)フランコ陣営で、最もひどいのが、「ラジオ将軍」ケイポ・デ・リヤーノである。彼は毎晩10時 になると、酔っ払いながら低劣な宣伝放送を行った。マルクス主義者は猛獣である、マルクス主義から スペインを救うためにはスペイン人の大半が殺されてもいい、という演説だったそうだ。 本の中には明記されていないが、 正義はどの陣営にもなく、ひたすら残虐行為が繰り返されるのが戦争だという主張が読み取れる。

本の中に、

フランコが憎んだのは「フリー・メイソン」であった。かれは、自由主義者を目の敵にして、「赤」 も自由主義も「フリー・メイソン」の産物だという単純な考えを持っていた。

10月16日、スターリンはスペイン共産党の指導者ホセ・ディアスに「スペインの闘争は 先進的・進歩的な全人類の共通の大義である」という電報を送った。

  といった一節が含まれていて、思わずニヤリとしてしまった。当人は冗談ではなく真面目にやっている のだから、とんでもない結果になるに決まっている。

当時のスペインは英米仏独よりも後進国で、アジア諸国よりも先進国である点で日本と共通しているので、 スペイン内戦は、日中戦争や太平洋戦争を考える上で参考になると思う。また、スペインは、 第二次世界大戦では中立を守り、フランコ将軍の独裁体制が1975年まで続いた。これも、 もし、日本がアメリカと戦争をしなかったらどうなったのかを考察する上で興味深い。


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